経営者を基準にしたビジネスモデルに限界
深夜の1人勤務体制は、すき家では「ワンオペ」と呼ばれ、その場合、6時間以上の連続勤務になっても、トイレ休憩の時間さえ確保できなかった。また、店内に1人しかいないことで清掃作業が疎かになり、不衛生な状態だったともいう。強盗が多発していたことから、ゼンショー側は、順次解消するとしたが、導入されてもすぐに戻されたりしていた。
こうした過重労働の結果、うつ病になったりして退職する社員も相次いだ。居眠り運転による交通事故も多発していたといい、3回も事故を起こしてケガをして入院した社員もいた。
しかし、こうした情報を得ても、小川賢太郎会長兼社長ら経営幹部は、「できる社員=自分」を基準にした対応を世代も能力も異なる部下に求めるという、無理のあるビジネスモデルを押し通そうとした。第3者委で「営業時間を短縮するという話は?」と聞くと、ある幹部は「ない。考えたこともない」と拒絶したという。
今回の報告書では、結論として、このビジネスモデルが壁にぶつかったとし、その根本的な転換を求めている。もっとも、この状況を自覚しているから、小川社長らが第3者委を設置したと評価もしている。
ネット上では、報告書の内容について、「店舗数順調に増えてるのに社員全く増えてないのが凄い」「下手なホラー小説より100倍怖いわ」「まるで牛丼売ってる蟹工船」といった驚きの声が出た。一方で、「第三者委員会が事実をえぐりだして拾ってくる努力は素晴らしい」「ここまでの覚悟で自らの非を認めることのできる企業って少ないんじゃないだろうか」との感想もあった。
ただ、報告書を出しただけで、終わりではないのはもちろんだ。報告書では、過去の会社の対応について、「調査があったが改善されている感じがしない」との声もあり、着実な改善が求められそうだ。