「電気料金をごまかすのはやめよう」
いわば北海道電力は、その「先兵」にすぎない。このままだと電力各社がこぞって電気料金の値上げを申請する可能性がある。関西電力が検討に入っているとの情報もある。
それでなくとも、電気料金は毎月のように上昇している。4月以降は、消費税率が5%から8%に引き上げられた。また燃料費調整制度により、電力各社が発電に使う液化天然ガス(LNG)や原油などのコストは月単位で電気料金に加算(減算)されていることもある。
アベノミクスによる円安の影響もあるが、LNGや原油の価格自体が高止まりしている。
太陽光発電などの、「再生可能エネルギーによる発電を促進すればいい」という声があるが、これも「賦課金」として電気料金に加算されている。電力会社が企業や家庭などから買い取っている電力は、回り回って最終消費者である国民が負担している。
折しも、日本経済新聞(2014年7月31日付)は企業の電力購入コストについて、14年度は10年度に比べて平均で約22%増える、と報じた。企業は節電や自家発電などの自助努力に加えて、電気料金が電力大手よりも割安な新電力を活用。生産水準などを維持しながら電力購入コストの増加を一定程度抑え込んではいるものの、節電などで電気料金の値上がり分を吸収するのは難しいとしている。
経済評論家でブロガーの池田信夫氏は、2014年07月30日付のニューズウイーク「VOICES」で「電気代が5割上がる現実を直視しよう」と、書いている。原発の再稼動は「安倍首相の政治決断」と指摘。「原発停止の損失を利用者が意識しないから、『電力は足りている』という人が出てくる。電気料金をごまかすのはやめ、5割値上げして利用者に負担させるべきだ。そういうコストを直視したうえで、エネルギー問題を考える必要がある」と、主張している。