潜伏期間などから、なかなか感染に気づかない
「エボラウイルスは、山火事のように広がる」。アメリカ人にも発症例が見られるようになり、米疾病対策センターでは2014年7月28日、こんな警告を発した。初期症状が発熱やノドの痛みなどエボラ出血熱と分かりにくく、潜伏期間も2~21日と幅があることから、水際阻止もなかなか難しくなっているのだ。
アジア諸国などでも、もちろん例外ではない。
中国の香港では、ケニアに17日間滞在した女性が28日に帰国してから、エボラ初期のような症状を示し、感染が疑われた。その後の中国メディアなどの報道によると、隔離後の検査で陰性であることが判明したという。
前出の「国境なき医師団日本」担当者は、こう指摘する。
「エボラウイルスが今後日本に入ってくる可能性は、ゼロではありません。潜伏期間などのことがありますので、それに気づかないと感染が広がる恐れもあります。ギニアは感染数が減ってきているとの情報が入っていますが、ほかの2国はまだ感染が増え続けていますので、もっとその動向に関心を持ってほしいと思っています」
厚労省の結核感染症課でも、エボラが日本に上陸して感染が広がる可能性があることを認め、「そのときは、感染症法に基づいて、入院や消毒といった対処をすることになっています」と説明している。