夏の高校野球選手権は間もなく甲子園で始まるが、2014年7月30日の神奈川県予選決勝で優勝した東海大相模の右腕、吉田凌投手が20奪三振の快投を見せた。
本大会最大の注目選手になりそうである。
「緊張して頭が真っ白になりました」
まさに快刀乱麻のピッチングだった。相手の向上高校は手も足も出なかった。140キロ台の速球も素晴らしかったが、武器のスライダーは落差が大きく、かすりもしなかった、という表現がぴったり。
「夢中で投げました。これまで練習してきたことがやっと出来たという感じです」
4年ぶりに夏の甲子園出場を決める大役を果たした吉田は、ほっとした様子でそう振り返った。まだ2年生で、エースの3年生を差し置いて先発した。
「試合直前に先発を言われました。緊張して頭が真っ白になりました」
それが県の最多記録タイの投球を演じたのだからたいしたものである。東海大相模は4人の力のある投手をそろえている。一人の投手に頼りすぎると、投球数が多くなって疲労がたまったり、故障にもつながったりすることを考慮して育ててきたのだろう。吉田はそのうちの一人だった。
「そのとき調子のいい投手を使うだけです」
門間監督は淡々と語る。20三振を奪った9回二死の場面で、吉田を代え、背番号1の青島を投入、エースのこれまでの労に報いた。