韓国、中国との差は小さい
社会のロボット化の進展に伴い、国内の市場規模は2015年に1兆6000億円、2020年には2兆9000億円、2025年は5兆3000億円、2035年に9兆7000億円に成長すると予測。そのうえで、日本が抱える多くの課題の解決に向け、ロボットの果たす役割は非常に大きくなるとしている。
一方、産業用ロボットでは日本の生産額は世界一と、依然として高い技術を持っているが、米国やドイツ、韓国、中国との差は小さくなり、「諸外国に追い抜かれつつある」と指摘。国としての見通しを持った「骨太な方針が求められている」と訴ええている。
NEDOがこうした白書をまとめた背景には、日本が「ロボット大国」と言われながらも、海外勢からの追い上げにさらされ、電機産業のように「技術で勝ってビジネスで負ける」という悪夢への強い危機感があるから。政府もロボット市場の可能性の大きさに着目し、安倍政権がまとめた成長戦略にも盛り込まれた。
白書は今後も2年ごとに改訂版をまとめる方針だというが、欧米を中心に軍事ロボット開発を行い、民生用に転用も可能な海外勢はやはり強敵。それだけに改訂を重ねるうちに「技術でも負けた」という表現が加わる可能性も完全に否定はできないところ。今後の日本のビジネス展開と技術開発がどう進むかが注目される。