「パズドラ」でも簡単ではない海外進出
ミクシィ新社長の森田氏は、2014年7月24日付のオンラインITニュース「TechCrunch」(日本語版)のインタビューで、モンストに続くゲームについて問われると「うーん、どうですかね」とはぐらかしつつ、当面はモンストに注力する意向を示した。特に海外展開を重視し、5月に台湾でリリースした後は中国や欧米も視野に入れているという。
スマホゲームで大成功を収めたガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」も、国内での成功を引っさげて海外市場に乗り込んだ。だが7月29日付の日本経済新聞は、アジアと欧米を合わせたダウンロード数が6月末に700万件前後に達したものの国内に比べて伸びが鈍いと指摘した。確かに国内の2900万件に比べると見劣りする。海外進出は、パズドラでも簡単ではないのだ。ミクシィにとって収益の柱がモンスト一辺倒では、仮に海外で「コケ」て課金収入が落ち込んだ場合、ダメージは計り知れない。
井上氏は、「モンストの『次』が必ず成功するとは言えません。それだけに、他の事業の成長が必須です」と話す。ミクシィはSNSのほかに転職サイトの運営、フォトブック作成アプリ、また2013年には結婚支援を手掛ける企業を買収して多角化を図る。井上氏が注目するのは、結婚支援事業だ。現在、結婚相談業のテレビCMは日本民間放送連盟基準109条「私的な秘密事項の調査を業とするものは取り扱わない」により規制されているが、「CMが解禁されるかもしれないとの話があるのです」(井上氏)。仮にCMが始まって視聴者に宣伝効果が広がれば、事業が一気に拡大する可能性はある。
森田社長は就任前、「ゲームだけでなく、つながりを加速させるサービスを目指す」と話していた。とは言え来年度の業績予想を見ると、明らかに「モンスト頼み」の部分が大きくなっているのは否めない。市場から好感触を得ているなか、8月8日に開かれる決算発表では「モンスト後」を見据えた新機軸を投資家に示せるだろうか。