リニア新幹線、今秋着工に向け動き出す ただし「環境保全に十分な配慮必要」

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   2027年に東京・品川-名古屋間の開業をめざすリニア中央新幹線について、太田昭宏国土交通相が2014年7月18日、環境影響評価(アセスメント)に対する意見書をまとめた。「環境保全に十分な配慮が必要」と指摘し、住民への丁寧な説明や建設残土の有効活用など8項目の措置を要請したが、計画の抜本見直しは求めていない。

   事業の意義は「3大都市圏を一体化するとともに、我が国の国際競争力の強化に資する」と高く評価しており、事実上、建設を容認したものだ。今秋の着工を目指すJR東海は意見書を踏まえて評価を補正し、工事実施計画を申請し、国交相が最終的に認める段取りになっている。環境への影響が未知数な部分が多いまま、着工となりそうだ。

アベノミクスの成長戦略の一環

環境面で懸念あり(画像はJR東海「リニア中央新幹線」WEBサイト)
環境面で懸念あり(画像はJR東海「リニア中央新幹線」WEBサイト)

   超電導リニアは、日本だけが開発に成功している世界最速の次世代陸上交通システムで、特殊金属をマイナス269度に冷やし、電気抵抗をゼロ(超電導現象)にして強力な磁力を発生させ、車両を10センチ浮かせて最高時速500キロで走行。品川-名古屋間を最短40分で結び、将来は大阪まで延伸する計画で、東名阪の移動時間を大幅に短縮し、大きな経済効果が期待されている。また、リニアを世界に先駆けて実用化できれば、海外への展開も視野に入るとあって、アベノミクスの成長戦略の一環に組み込まれている。

   経済的な思惑とは異なり、環境的には反対論も根強い。リニアをめぐるアセスは、6月5日に石原伸晃環境相が、JR東海のまとめたアセスメント書に対する意見を太田国交相に提出しており、その中で、「環境影響を最大限低減しても相当な環境負荷が生じる」と指摘していた。具体的に重要なポイントは残土と地下水だ。

   リニア新幹線は全長286キロの計画区間の86%を地下や山岳トンネルが占めるので、建設残土は沿線7都県で計約5680万立方メートル(汚泥なども含めると東京ドーム50杯分の約6380万立方メートル)に及ぶ。ところが、JR東海のアセスでは利用先が決まっているのは約2割の計1260万立方メートルにとどまり、地元から環境への懸念が出ている。環境相は、車両基地などの施設規模を見直すなどして残土発生量を極力抑え、置き場を選ぶ際は自然度の高い区域を避けるよう要求。置き場ごとに地元 自治体と協議し管理計画を作ることを求めていた。

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