長崎県佐世保市の殺人事件で、加害者の女子高生(16)の写真が市のホームページなどから次々削除されたとして、騒ぎになっている。この生徒は、父親と一緒に国体に出場するなど、地元では有名だったというのだ。
県立高校1年の同級生(15)を殺したとして逮捕された生徒は、両親が地元の名士だったこともあって、ネット上で実名などが次々に特定された。
「加害者だけ隠すのはおかしい」との意見も
そんな中で、生徒と父親は、栃木県で2014年1月に開かれた冬季国体のある競技に長崎県代表として出場していたことも分かった。
佐世保市のホームページでは、当時中学3年生だった生徒が親子で出場していたとして、2人のツーショット写真も載せて紹介していた。父親と兄の影響で競技を始め、国体ではトップバッターとして出場するなどと書かれてあった。また、長崎県のホームページでも、国体の壮行会で県の団旗を持った生徒や本番で競技に臨む親子の様子を写真付きで載せていた。
ところが、7月27日に生徒の緊急逮捕が報じられた後、佐世保市や長崎県のホームページから2人の情報が次々に削除されてしまった。
また、父親は、フェイスブックに娘のことを書き込み、11年6月21日の父の日には、ケーキをプレゼントされたことを2人のツーショット写真を載せて報告していた。士業を営んでいる事務所のホームページには、国体に出場した競技のことなどの自己紹介をしていた。しかし、生徒の逮捕後は、フェイスブックが閉鎖され、事務所ホームページも工事中の表記になっている。
こうした動きに対し、ネット上では、いくら未成年だとはいえ、被害生徒の情報はたくさん報じられているのに、加害者だけ隠すのはおかしいと疑問の声が上がった。父親が地元の名士だけに、根拠のない憶測が次々に流されるまでになっている。
「加害生徒に配慮して削除したわけではない」
ホームページから加害生徒らの情報を削除したことについて、佐世保市の国体推進室では、生徒に配慮して削除したわけではないと取材に説明した。
「長崎県で10月に開かれる国体の選手紹介コーナーですので、そこで行う競技でないものは、6か月を過ぎると削除しています。ご指摘の競技についても、1月27日に情報をアップしましたので、7月27日に自動的に削除しました」
生徒逮捕の後に、削除依頼が来たこともないという。6か月が過ぎていない場合については、削除するかは国体佐世保市実行委が判断することだとしている。
また、長崎県教委でも、取材に対し、生徒に配慮して削除したことを否定した。
「ホームページにアクセスが殺到して、サーバーのアラームがずっと鳴る状態でした。ほかのシステムに影響が出る可能性がありましたので、削除しました。影響がなければ、削除する理由がないと考えています」
削除依頼もなかったといい、「圧力がかかったということはありません」と言っている。
加害生徒の父親の事務所では、取材に応対したスタッフが「今回のことについては、何も聞いていません。事務所としても、何もお答えすることはないです」と話した。
もっとも、削除したとしても、ネット上では、すでに生徒や父親の実名や写真などの情報がコピペされるなどして大量に拡散しており、そのことを問題視する声もある。