北海道東沿岸「サンマが港に1匹も揚がらない」 どこに消えた? 高嶺の花になるのか

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   北海道東沿岸のサンマ流し網漁が記録的な不振に見舞われている。漁獲量が過去最低だった2013年の10分の1で、釧路港に水揚げされるサンマが1匹もない日もあるという。

   地元の漁師は「サンマがいないのに漁船を出すわけにはいかない」として出漁を断念する動きになっている。このままでは廃業の危機でありこの原因は乱獲なのか、サンマの進路が変わったのか、それとも沿岸に集まってくる魚の「魚種移動」があったのか、国の専門機関に調べてほしいと悲鳴を上げている。

イワシは絶好調、サンマの20倍の漁穫

   道東沖の小型船(10トン未満)の流し網漁が解禁されたのが2014年7月8日で、翌日の9日に水揚げされた。道東小型さんま漁業協議会調べによれば過去最低だった13年初日に比べ約7分の1の量で、重さも例年の8割ほどのこぶりだった。北海道東部の14年7月26日までのサンマの水揚げ量は7.8トンで、過去最低だった13年の同時期に比べ10分の1近くまで減った。北海道東部の同時期の漁獲量は09年の1790トンをピークに、11年は707トン、13年は77トンと急激に下がっている。どうしてこうなったのか。道東小型さんま漁業協議会では「サンマが近海にいなくなった」ため。多くの漁船が漁を中止していて、

「漁をする以外に仕事が見つかった人はいいが、そうでなければどうにもならない状況だ」

と打ち明ける。

   なぜサンマがいなくなったのか。可能性として考えられるのは乱獲によって資源が減ってしまったか、サンマの回遊路が変わったか、サンマとイワシ、サバが順番に増えたり減ったりする「魚種移動」があった、などがあるという。 実は近年、これまで漁獲量が激減していたイワシが大量に獲れるようになって、水揚げはサンマの20倍にもなっている。網にかかるのはサンマではなくてイワシ、という状態だが、イワシは卸値が安くサンマ漁の漁師にとってはお金にならないという。

サンマは安定した資源「最終的には例年並みの漁獲」

   テレビ朝日系の情報番組「モーニングバード!」も14年7月29日放送で釧路港を取り上げ、

「1匹の水揚げもなかった」

と閑散としている映像を流した。商店にはサンマが売られていたが値段は税抜きで1匹400円。それでも値段は下がっていて、漁が始まったころは900円だったと紹介していた。スタジオではサンマは普通1匹100円くらいが相場であり、サンマの不漁が続くなら「高嶺の花」になるなどと驚いていた。

   釧路水産試験場に話を聞いてみると、サンマは北海道の太平洋沿岸を北上していたがそれが少なくなり、これまでより遠洋を北上するようになっているのではないか、と説明した。イワシに関しては近海の海水温が例年より2度から3度くらい高くなっていることで集まってきた可能性が考えられる、という。これから漁獲はどうなるかについては、道東沖で取れるのはマイワシで、このマイワシに関しては資源の変動が大きいためなかなか予想は出来ないが、サンマに関しては変動が少ない魚として知られている。

「現在は近海の漁が解禁されていて8月からは沖合漁業が始まりますので、結果は見てみなければわかりませんが、全体からすれば例年並みの数字になるのではないでしょうか」

と説明し、食卓への影響は少ないはず、ということだった。

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