佐世保市教委「10年間の取り組みは無駄ではなかったと思いたい」
命の大切さを訴える教育を推進する自治体は、ほかにもある。埼玉県の場合、子どもの自殺を防止するため、教師向けに「自殺予防マニュアル」を配布して指導の徹底を各学校に呼びかけている。愛知県豊橋市は、2010年に中学校の野外活動中にひとりが亡くなったことを風化させないため、事故が起きた6月18日に毎年、市内の全小中学校で命を題材にした道徳の授業や本の読み聞かせ、子どもたちによる「命、安全」に関するスピーチの実施などを続けている。東京都東村山市も、毎年2月1日~7日を「東村山市いのちとこころの教育週間」と定め、市立の小中学校で公開授業や講演会を開催している。
佐世保市の「強調月間」は、小学生による殺害事件を契機に始まった。1か月という長期間に渡って命の尊さを考える期間を設けているのは、それだけ力を入れている証拠だろう。ところが、開始10年という区切りの年にまたも高校生による同級生殺害という衝撃的な事件が起きてしまった。長崎県教育委員会の池松誠二教育長は、「また長崎かと私も驚いている」と報道陣に話した。
市教委はJ-CASTニュースの取材に、「10年間の取り組みは無駄ではなかったと思いたい。各校は真剣に取り組んできました」と話す一方、今回の事件を踏まえて「本当に子どもたちの心に届いていたのだろうか……」と戸惑いも見せた。「いのちを見つめる強調月間」を見直す可能性について尋ねると、「今後の動きを見ながら考えていきたい」と話すにとどめた。