大きくいびつなホクロは危険な兆候
乳がんなんて自分には関係ないと思った男性も、ホクロの見た目はチェックしておいた方がいい。
ただのホクロだと思っていても、実は「メラノーマ」と呼ばれる皮膚がんである可能性があるのだ。皮膚がんは他の部位への転移が早く、進行すると手術や抗がん剤などによる治療が難しい。ホクロに似た見た目のため「ホクロのがん」などとも言われるが、厳密にはホクロではない。
日本での推定患者数は10万人に1~2人程度だが、ホクロだと思っていたものがメラノーマであれば、大変だ。
「形が左右対称性でない」「まわりがギザギザしている」「色が均一でなく、濃淡が混じっている」「直径が6mm以上あり徐々に大きくなっている」といった特徴が2つ以上あると、メラノーマの可能性がある。
とはいえ、素人が表面的な見た目だけでメラノーマなのかホクロなのか正確な判断をするのは難しい。気になったら、まず皮膚科の専門医にダーモスコープという診断器具で調べてもらうといいだろう。
メラノーマが発生する根本的な原因は分かっていないが、紫外線に対する防御が弱いと考えられる白人に多く、皮膚に多量の紫外線を受けることが関係していると考えられる。
肌が白い人はもちろん、野外で紫外線を浴びる機会の多い人は必ず日焼け止めクリームなどを使用して、防御したい。[アンチエイジング医師団 山田秀和]
参考論文:1
Association between Cutaneous Nevi and Breast Cancer in the Nurses' Health Study: A Prospective Cohort Study
doi: 10.1371/journal.pmed.1001659
参考論文:2
Association between Melanocytic Nevi and Risk of Breast Diseases: The French E3N Prospective Cohort
doi: 10.1371/journal.pmed.1001660
山田秀和(やまだ・ひでかず)
近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長。
アンチエイジング医師団
「アンチエイジングに関する正確で、最新かつ有効な情報」を紹介・発信するためにアンチエイジング医学/医療の第一線に携わるドクターたちが結成。 放送・出版などの媒体や講演会・イベント等を通じて、世の中に安全で正しいアンチエイジング情報を伝え、真の健康長寿に向き合っていく。 HPはhttp://www.doctors-anti-ageing.com