高1女子が「首の切断」できるものなのか 専門家「体重をかけ、押さえつけるように何回も繰り返せば可能」

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   長崎県佐世保市の高校1年生、松尾愛和さん(15)の遺体は頭部と左手首が切断された状態で発見された。殺害容疑で逮捕された同級生の女子生徒(16)は遺体を切断したことも認め、「全て自分1人でやった」と供述しているという。

   「首の切断」は15歳の少女が1人で可能なものなのか。疑問も浮かぶが、専門家は「時間をかけて何度も繰り返せば可能」と指摘する。

文化包丁でも切断できる

   女子生徒は2014年7月26日20時ごろ、自宅マンションの1室で松尾さんの後頭部を工具で複数回殴り、首をひも状もので絞めて殺害した疑いがもたれている。遺体は発見時、ベッドの上にあおむけの状態で横たわっていた。頭部と左手は切断され、胴体には複数の切り傷や刺し傷があった。そばには刃物や工具も残されていたという。

   高校1年生の少女が殺害後に首まで切断するという衝撃的な事件に、インターネット上では「女子高生が持ち合わせの道具で人を切断できるもの?」「女の子1人でそんな事できるの?」といった声が相次ぎ寄せられている。

   首の切断は容易にできるものなのか。東京都監察医務院で医長監察医を務めていた佐藤喜宣杏林大学教授(法医学)は「首には多くの筋肉が集まっていて、頸椎と呼ばれる7つの骨もある。非常に頑丈にできているので、切断するにはよほど鋭利な刃物か鉈(なた)のような重いもので何回も切り付けないと難しいでしょう」と話す。

   ただし女子高生を含め、一般女性の力でできないことはないという。

「体重をかけて押さえつけるように何回も繰り返せば、時間はかかりますが女性でも可能です。特別なものが必要なわけではなく、自宅にある包丁、たとえば文化包丁でも切断はできます」

   今回の事件現場は、女子生徒が1人で暮らしていたマンションの1室とみられている。どれほど時間がかかっても、人に見られたり邪魔されたりしない環境は整っていた。

   ちなみに死亡後の切断ならば、太い血管の通る首とはいっても血液が噴き出したり、とくとくと流れ出たりすることはなく、じわーっと漏出する程度だという。

バラバラ殺人の9割は運搬、隠蔽目的だが…

   未成年の加害者が殺害後に首などを切断したというケースは97年に起きた「酒鬼薔薇聖斗事件」(神戸連続児童殺傷事件)を除けば、ほとんど例をみない。

   平伸二福山大学教授(犯罪心理学)は、

「日本のバラバラ殺人事件については、9割以上が運搬を容易にするためや証拠隠滅など、犯行の形跡を消すことが理由であるとの報告があります。しかし今回のケースは、切断も完遂せず遺棄や隠蔽も行っていない。隠蔽目的で切断し始めたが、精神的、肉体的、時間的労力がかかりすぎ、それを断念したといえるのかもしれません」

と指摘する。

   隠蔽以外にも、パニック状態や怨恨から切断に及んだ可能性も考えられるが、平教授は現段階ではいずれも憶測の範囲にとどまり、真相に至るには警察の基礎捜査と検察の確認、弁護士を含む加害者側の聞き取りが重要になると話した。

   女子生徒の動機については28日午後に「遺体をバラバラにしたかった」という趣旨の供述をしているとも一部で報じられているが、詳細は明らかになっていない。警察は2人のトラブルの有無とともに、当時の精神状態についても慎重に調べを進める。

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