「不都合な事実」取り除いたグラフを掲載か
論文中に数多くの画像、グラフを掲載したのは、小保方氏の上司にあたる理研CDB副センター長・笹井芳樹氏の指示だったようだ。「Nスペ」によると、小保方氏が最初に投稿した論文と比べて40点以上増えたという。豊富なデータを用いて論拠を補強する手法は有効だと、番組に登場した専門家は笹井氏の論文作成のスキルを評価した。
だが、こうした画像やグラフがねつ造や改ざんだらけだとしたら逆効果だ。専門家たちは、論文指導をした笹井氏は「ニセモノ」が使われたとは見抜けなかっただろうと推測した。通常は「データは信用できる」との前提で論文をチェックするというのだ。また不正画像だと気づいていながらお墨付きを与え、後で問題が表面化すれば自身のキャリアにも傷がつく。
論文に対する新たな疑義は、まだ発生している。毎日新聞は7月21日付朝刊で、「ネイチャー」に掲載されたSTAP細胞の万能性を示すグラフが、論文著者が過去に投稿した別の論文で使用したグラフの一部データを除いた形になっていたと報じた。グラフは、万能性にかかわる複数の遺伝子の働きを説明したもので、削除した部分は働きが落ちているように見える。不正とは言えなくても、著者にとって都合の悪い部分を意図的に消したと言われても仕方がない。
一方、小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は、Nスペ放送翌日の7月28日、報道陣に対して「NHKは小保方に対する集団リンチの先頭を切っている」と厳しく批判。7月23日夜にNHK取材班が小保方氏を追い回し、けがを負わせた経緯もあり、不信感が募っているようだ。
Nスペの番組内では、論文の疑義について小保方氏に取材を申し込んだが、返答はなかったとしていた。一方「過剰取材」に関する言及はなかった。