6月の既存店売上高8%減で業績不振抜け出せない
中国製チキンの使用中止について、日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「お客様に提供するお食事、またブランドに対する信頼が何よりも大切」とコメントした。だが、上海福喜食品のあまりにもずさんな食肉の管理体制が広く報道されたことで、消費者の懸念は簡単にぬぐえないかもしれない。ツイッターには「チキンにとどまらないのではないか」といった疑いの声や、たとえ鶏肉の発注先を中国以外に切り替えたとしても「安心だと言い切れるのか」と不安視する書き込みもあった。
鶏肉の調達先から中国を外した場合、安定的な量の確保が続けられるかも課題だ。日本マクドナルドにとって、チキンメニューは人気が高い。2014年1月20日に放送されたバラエティー番組「お試しか!」(テレビ朝日系)で発表された「人気メニューベスト10」では、チキンマックナゲットが2位、チキンクリスプが5位に入った。売り上げを支える商品の欠品が頻発するようでは、営業面でのダメージが避けられないだろう。
業績不振が続く日本マクドナルドは、カサノバ社長兼CEOが就任した2014年2月以降も、なかなか上昇軌道を描けず苦戦が続く。7月7日に発表した6月の既存店売上高は、前年同期比8%減と大きく落ち込んだ。先行きが見えない同社にとって、今回直撃した中国製チキンショックはあまりにも痛い。外食産業にとって最も重要な「食の安全」を脅かす事態だけに、「泣きっ面にハチ」となってしまった。