外国人の生活保護、10年前から1.9倍増
厚生労働省によると、生活保護の受給世帯数(2012年度)は、全体で月平均155万1707世帯。このうち外国人世帯は4万5634世帯と、全体の3%近くを占める。10年前(02年度)は2万4049世帯で、当時と比べると1.9倍も増えた。
外国人の生活保護費の受給世帯の増加が続く背景には、不景気が長引いたことや高齢化の影響がある。一方、財政悪化が進む地方自治体にとって、生活保護費の増加は頭の痛いところ。必要以上に増やしたくないとの思いはある。
とはいえ、生活に困窮した外国人への生活保護費の支給は、日本に永住する人や難民認定された人などを対象に、各自治体の裁量で支給しているのが現状だ。
外国人の生活保護費の支給について、厚労省は「各自治体の判断です」としている。その根拠は、1954(昭和29)年の社会局長通知「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」だ。そこには、「外国人は法の適用対象とならないのであるが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて…必要と認める保護を行うこと」とされており、厚労省は現行もこの通達が「生きている」と認識している。
厚労省は、「日本人でも外国人でも生活に困窮している場合には、人道的見地から支給が必要になることがあると考えています」(社会局)と説明する。
ただ、今回の最高裁判決で、外国人であることを理由に生活保護の申請を認めないことが「ないわけではないと思う」とも話している。
最高裁の判断があっても「一票の格差」のようにただちに制度が変わらないことは少なくない。また、今回の中国籍の女性のケースは、外国人だからというよりも、預金もあり、生活の困窮度が実態として保護を受けるほどではない、ということに力点が置かれて出た判決とみる向きもある。