心と体の性別が一致しない性同一性障害や同性愛など性的少数者(LGBT)の求職者と、LGBTに知識と理解のある企業をマッチングさせる業界初の人材紹介・転職支援サービスが2014年7月16日、始まった。
NHKが全国ニュースで報じるなど、新たな試みが社会的にも注目されている。
約20人に1人がLGBT
紹介サービスを始めたのは、人材紹介やIT関連のベンチャー企業「ネオキャリア」の子会社「ワイルドカード」。22日までに200人を超える求職者の登録があり、企業側からも30社前後の引き合いがあるなど、「予想を上回る反応」という。
LGBTとは、▽レズビアン(Lesbian、女性同性愛者)▽ゲイ(Gay、男性同性愛者)▽バイセクシュアル(Bisexual、両性愛者)▽トランスジェンダー(Transgender、性同一性障害を含む体と心の性が一致しない人)の頭文字で、性的少数者の総称だ。
電通総研が2012年、全国の20~59歳の男女約7万人を対象に行ったアンケート調査によると、LGBTは5.2%(3637人)を占めた。約20人に1人がLGBTという割合だ。LGBTと答えた人々の約7割が「職場で差別的な言動がある」と回答しており、職場での人間関係などに悩み、転職を余儀なくされるケースが多いという。
職場のLGBT問題に取り組むNPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市淀川区)によると、「日常的に性的少数者をからかうような職場の雰囲気が無形の圧力となっている。問題が起きた時に相談窓口となるはずの人事部門、労働組合、契約医療機関等も、性的少数者に関する知識があるのかわからず、利用するのをためらってしまう」という。その結果、「性的少数者とわかった時、職場いじめ、昇進差別、解雇などに遭う恐れがある」というから、問題は深刻だ。