AP通信で「ロボット記者」本格稼働 新聞記者は「消えゆく職業」となるか

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「記者をデータ処理の煩わしさから解放するため」と言うが…

   LAタイムズでは同じ仕組みで、別の記事の自動化にも応用している。「スレート」の記事によると、ロサンゼルス周辺で発生した殺人事件のリポートも、地震情報のように配信しているそうだ。

   一方、最近ポピュラーになってきているのが、既に書かれた長い記事を自動的に要約するサービスだ。代表的なものに、2011年、16歳の若者が開発したスマートフォン(スマホ)アプリ「Summly(サマリー)」がある。長編記事でも、スマホの画面で一気に読めるように300~500ワードに圧縮して配信する。12か国語に対応し、オノ・ヨーコさんが出資したことでも話題となった。その後、米ヤフーが買収したが、その金額は3000万ドルとされる。

   国内では、パソコンやスマホで、自分の興味のある分野の記事を自動収集し、3行に要約して表示する「Vingow(ビンゴー)」や「SLICE NEWS(スライスニュース)」などがある。自動要約の精度も高まっており、読んでいて不自然に感じることは少なくなっている。通勤電車の中でスマホ片手に今日の出来事を知りたい人たちにとっては、利用価値の高いサービスだろう。

   こうした仕組みがますます進化すれば、「将来、記事はすべて自動化されるのか。そうなれば記者は失業するのでは」と思う人は少なくないだろう。AP通信はこの問いに公式ブログで答えている。「ロボット記者」の導入は、あくまでも記者をデータ処理の煩わしさから解放し、取材や調査といった記者本来の業務に集中させるためというのだ。

   だがこんな調査結果もあった。米キャリアキャスト社が発表した「2014年版・絶滅が危惧される職種」の中に、新聞記者が含まれていたのだ。米国では、2022年までに新聞記者の採用が13%減になると予想される。新聞購読者の減少や広告収入の落ち込みが悪影響を及ぼし、事業を停止した新聞社も出てきている。オンラインニュースの台頭も一因だ。ただでさえ厳しい環境で、追い打ちをかけるように今後「ロボット記者」が知恵をつけて分析記事や調査記事も書くようになったら……。

   調査は米国のものだが、日本で同じ動きが起きないとは限らない。こんな未来がやってきたら、メディアの姿は今とは様変わりしているかもしれない。

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