「長時間労働が過労死の大きな要因」
国民への啓発の一環として毎年11月を「過労死等防止啓発月間」とすることも盛り込んだ。こうした取り組みを網羅し、過労死対策の方向を示す「大綱」を定めることを国に求めており、今後、過労死の遺族、労使代表らで構成する「過労死等防止対策推進協議会」を厚生労働省に設置して議論することになっている。
厚労省の調査では、過労で脳出血や心筋梗塞などを起こして死亡し、2013年度に労災認定された人は133人で、12年連続100人を超えている。発症前の残業時間の1カ月平均は「80~100時間未満」50人、「100~120時間未満」28人と多く、同省は「長時間労働が過労死の大きな要因」と分析している。また、職場でのストレスが原因でうつ病などの精神疾患を発症し、2013年度に労災認定された人は436人で、1983年の調査開始以降で2番目に多く、うち自殺や自殺未遂を図った人は63人に達している。
こうした実態を改めるためにも、国の本格的な取り組みが求められるわけだが、防止法は基本理念を示したもので、ブラック企業を直接規制するなどの規定があるわけではない。調査・研究などに基づき労基法の改正など法制上の措置は必要に応じて講じることになっている。