「脱法ドラッグ」の新名称が「危険ドラッグ」に決まった。厚生労働省と警視庁が募集し、2014年7月22日に発表した。
ところが、インターネット上では著名人らが相次いで「ダメ出し」している。
「準麻薬」「廃人ドラッグ」などは落選
「脱法ドラッグ」は麻薬や覚せい剤などと似た作用を引き起こすが、麻薬取締法や薬事法の規制対象外となっている薬物を指す。数年前から乱用が社会問題化し、今年6月には東京・池袋の繁華街で脱法ハーブを吸った男の運転する車が歩道に突っ込み8人が死傷する痛ましい事故も起きた。
「脱法」という呼び方については、以前から危険な薬物ではないような誤解を与えるとの指摘があったが、池袋の事件を受け、厚生労働省と警視庁が名称の見直しに乗り出した。「危険性の高い薬物であることが認識できること」「ハーブと言う呼び方は誤解を与えるため原則使わないこと」などを要件に、7月5日から18日まで一般募集を行ってきた。
応募件数約8000件、応募作品数延べ約2万件から選ばれたのは「危険ドラッグ」だ。発表によると、「危険」を冠した呼称名と語尾に「ドラッグ」を用いた呼称名が多かったことから双方を組み合わせて選定したという。「危険ドラッグ」自体も102件の応募があった。
なお、他の応募作品では「準麻薬」(183件)、「廃人ドラッグ」(140件)、「危険薬物」(123件)、「破滅ドラッグ」(110件)などがあったが、「麻薬」「薬物」という表現は法令用語と重なるため使用を控えたという。
厚労省は「新呼称は、規制の有無を問わず、使用することが危ない物質であると明確に示すものです」としており、今後、広く普及を図っていく。
「E電」「母さん助けて詐欺」と同じにおい?
ところが、せっかく決めた新名称も反応はいまいちのようだ。インターネット上では
「語呂が悪い」
「むしろポップなイメージが強まった」
「浸透しないに100円かける」
「これを受けて違法ドラッグの名称もハイパー危険ドラッグとかにしないとそれぞれの危険度に関して新たな混乱が生まれそう」
などと、さっそく散々な言われようだ。
お笑い芸人の有吉弘行さんもツイッターで「危険ドラッグなんていう名前より、殺虫剤入りのお薬とかの方がいいけどなぁ。。。」と不満げだ。
コラムニストの小田嶋隆さんもツイッターで
「『危険ドラッグ』の何がダメかと言うと、『危険なドラッグに手を出すオレカコイイ』に短絡しやすいところだな。もっとダサい名前にしなきゃだめだろ。インチキガンジャとか、ゾロシャブとか」
「『危険ドラッグ』という名前にすれば、良い子たちが『うわあ危険なんだ。やっぱりやめとこう』って考えると思ったのか?警視庁の間抜けはハッパに手を出すみたいなガキが、危険に魅了されてるってことがどうしてわからないんだろうか」
などと批判する。
パロディー漫画家の田中圭一さんは「きっとそうに違いない。『E電』を選んだ人と『母さん助けて詐欺』を選んだ人と『危険ドラッグ』を選んだ人は同一人物」とツイートし、「お上」ならではのネーミングセンスを皮肉っている。