岡山県倉敷市で男に監禁されていた小学5年生の女児(11)が無事に保護された。女児にはケガもなく最悪の事態は免れたが、子供の連れ去りを防ぐことの難しさを改めて見せつけた。
そうした中、漫画家の倉田真由美さん(42)がテレビ番組内で「小さい女の子と成人男性の組み合わせは注視し、時には声をかけるべき」などと主張し、波紋を広げている。
父親ならば「『失礼しました』って言うだけの話」
女児が保護された翌日の2014年7月20日、倉田さんは報道番組「真相報道バンキシャ!」(日本テレビ系)にコメンテーターとして生出演した。倉敷市の事件に関連し、女児誘拐事件が相次いでいることについて意見を求められた。
倉田さんは防犯カメラの設置台数を増やすと同時に、大人が「生きたカメラ」となることも必要だと主張。大人たちが不審者に目を光らせ、街ぐるみで事件の芽を摘みとる重要性を指摘した。その上で、
「特に小さい女の子と成人男性の組み合わせを路上で見かけたら、そのまま通りすぎちゃうんじゃなくて『どういう関係なのかな』『何が起こっているのかな』って注視して、時には声かけをする。『もしもしどうかしましたか』って」
と話した。
女児と成人男性の組み合わせならば「親子」であるケースが大半かと思われるが、倉田さんは「もし『お父さんなんですよ』っていうことなら『失礼しました』って言うだけの話ですからね」と言い、
「私たちは機械と違って選別できるじゃないですか。特に小さい女の子と成人男性っていう組み合わせはちょっと通り過ぎるだけじゃ済まないようにしましょう…っていつも私も思っているんですけど」
などと持論を語った。キャスターの福澤朗さん(50)も「それはいい考えですね」と同調した。
「世のお父さん誤認逮捕まったなし」
倉田さんの主張によれば、結果的に本物の親子や親戚であったとしても、第3者から見て疑わしいと感じたら2人を警戒し、場合によっては声をかけるべきということらしい。
だが、これには疑問や反論の声が相次いでいる。
インターネット上には、放送後から
「世のお父さん誤認逮捕まったなし」
「お父さん皆犯罪者扱いかよ! 家族はシングルマザーのみなの?」
「おいおい姪っ子と歩けないじゃん」
「こういう人たちに父親ですって言っても信じないんだろ?」
といった声が寄せられている。
もちろん、地域の人々による声かけが犯罪防止の一助になっていることは確かだろう。だが、一方で困っていそうな子供に声をかけただけで不審者扱いされてしまうケースも少なからずあるのが現状だ。そうした地域の人々による厳しい監視の目が、一緒に外出しているだけの父娘にまで及ぶとなれば、犯罪予防のためとはいえ窮屈さを感じる人は少なくないようだ。
ネット上では、親子だと分かった際は謝ればいいという主張に対しても、
「言う側の主観であって声かけられた側が不快かどうかは別だよね」
「父親を目の前で疑われた子供が、その後何を思うのか」
などと批判が出ている。
また、実際のところ、こうした「連れ去り」は、人目につかないところで起きることが多く、その後「連れ歩き」するケースは少ないので、「声かけ」が効果があるかどうかは疑問という声もある。