「二刀流批判」黙らせた大谷の162キロ 「初球からエンジン全開」で常識覆す

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阪神マートン「彼と対戦したんだよ、と子供に言える」

   対戦した打者は絶賛した。

   最初に対戦した鳥谷は「何キロまで出るのか、と思ったよ。いい思い出になった」。

   「むっちゃ速かった。(1球目の内角低めを)避けられなかったもの」と言い、クルーンと比べて「質的には大谷の方がかなり上」。

   マートンは、大谷が大リーグに行ったときのことを想定して言う。「彼と対戦したんだよ、と子どもに言える」。

   今年のオールスター戦は2試合行われたが、完全に大谷フィーバー。一流選手のなかでこれだけの話題を集めたのは久しぶりのことだった。

   大谷がプロ入りしてから、投手と打者で進む「二刀流」に対し、様々な声が挙がった。「投手一本でやるべき」「打者にすればタイトルホルダーになれる」から「二刀流など成功しない」まで。

   2年目の今季、投手として9勝。打者として1試合2本を含む5本塁打。打率も悪くない。徐々に専門家の先生方の声は静かになった。そんな周囲の声を完全に押さえ込んだのがオールスター戦での快投といえた。

   惜しまれるのは、この大谷と対戦する「話題の打者」がセにいなかったことだ。やはり球宴だけに投手vs打者が見たいところである。

   かつて巨人長嶋vs南海杉浦は最大の呼び物だった。立大の同級生で、プロ入り以来、チームの柱、球界のトップスター同士。この対決のために入場料を払ったものだ。阪神村山vs東映張本といった対戦もあった。

   大谷が注目されたのは結構なことだが、打者のスター選手がいないことももう一つの事実である。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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