政府の武器輸出規制緩和を受け、日本の防衛産業がソロリ、動き始めた。2014年6月にパリ郊外で開かれた世界最大規模の兵器などの展示会「ユーロサトリ」には、日本が初めてブースを設け、日本企業13社が出展した。
防衛省も防衛産業を育成強化するための戦略を44年ぶりに書きかえて支援する構えだ。日本は武器輸出大国への道を歩むのだろうか。
禁輸対象は北朝鮮やイランなど一部に限られる
日本はこれまで、「武器輸出三原則」の方針のもと、武器の輸出を原則禁止してきたが、安倍晋三内閣は4月、これに代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、一定の条件を満たせば輸出を認める方針に転換した。単語を「武器」から「防衛装備」として、マイルドなイメージを装うが、集団的自衛権など安倍内閣が掲げる「積極的平和主義」の流れの一環だ。
具体的には、1 国連安保理決議や国際条約に違反する場合や、紛争当事国へは輸出しない、2 輸出を認め得る場合として「平和貢献や日本の安全保障に資する場合に限定し、透明性を確保し厳格審査する」 、3 輸出の際に「原則として目的外使用と第三国移転について日本の事前同意を相手国政府に義務付ける」――というもの。禁輸対象の1は北朝鮮やイランなど一部に限られ、ほとんどの国は2となり、実際に輸出を認めるか否かは、「我が国の安全保障に資する」かの視点で国家安全保障会議(NSC)が審査する。旧三原則が紛争の「おそれのある国」への輸出も禁止していたのと比べるまでもなく、輸出対象国や品目の規定が曖昧なため、どこまで認めるかは政権の判断に委ねられることになり、武器輸出に歯止めがかからなくなるとの批判が出るところだ。