アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空MH17便(ボーイング777-200型機)が2014年7月17日夜(日本時間)に何者かによって撃墜された事件は、翌18日朝の日本のワイドショーでも大きく取り上げられた。
多数の死者が出た航空機事故の扱いが大きくなるのは当然だが、その中でも先走ってしまったのがフジテレビ「とくダネ!」の小倉智昭氏。番組冒頭で「民間の航空機が撃墜されたという前代未聞の事件」と口走り、約20分後にアナウンサーが「調べていくと20数件実は起きておりまして…」と、さりげなく訂正する一幕があった。
大韓航空機事件では日本人も多数犠牲になった
番組冒頭、事故現場のVTRが短く流れ、直後に小倉氏が
「今、映像でご覧いただきました、深夜に大変驚くようなニュースが入ってきました。マレーシア航空機がウクライナで撃墜されて、乗客乗員全員が死亡したとみられています。民間の航空機が撃墜されたという前代未聞の事件。現場はウクライナ軍と親ロシア派が戦闘を続けている地域で…」
などとコメントした。
だが、民間機が撃墜されるのは「前代未聞」ではない。最も有名なのは1983年に起きた大韓航空機の事件。ニューヨークからアンカレッジ経由でソウルに向かっていたKE007便(ボーイング747-200型機)が航路を逸脱してソ連(当時)の領空を侵犯し、サハリン付近でソ連軍機に撃墜された事件だ。日本人28人を含む乗員乗客269人全員が死亡している。
事故当時は「サハリンに強制着陸させられ、乗員乗客は全員無事」といった怪情報が飛び交い、一時はメディアの報道も混乱した。
1988年には、米海軍のミサイル巡洋艦がペルシャ湾上空でイラン航空機をイラン軍機と見誤って撃墜し、乗員乗客290人が全員死亡。米側は誤りを認めて遺族に賠償金を支払っている。2001年には、ウクライナ空軍が黒海上空でシベリア航空(現・S7航空)機を撃墜し、乗員乗客78人が全員死亡した。やはり軍用機と見誤ったとみられている。
それ以外にも1954年にキャセイ・パシフィック航空機が海南島沖で、1973年にはリビア航空機がシナイ半島で、それぞれ撃墜されたことが広く知られている。