郷土芸能が地域に根付いている大槌町で、吉里吉里(きりきり)中学校と吉里吉里小学校合同による郷土芸能発表会が7月9日に開かれました。来年度から完全導入される小中一貫教育の柱になる「ふるさと科」の授業の一環です。
発表会は吉里吉里中学校体育館で開かれ、中学校の全校生徒に小学5、6年生が加わって演舞。PTAの父母や、近くの仮設住宅の住民合わせて約200人が鑑賞に訪れました。
発表会は、郷土芸能を保存、継承しようという地元の思いと、取り組みを「ふるさと科」の実践例にしようという学校側の思いが重なって実現しました。今年で3回目。小中合同で演じるのは初めてです。
児童、生徒たちは、事前に調べた郷土芸能の歴史を発表し、吉里吉里鹿子(しし)踊、吉里吉里大神楽、吉里吉里虎舞の順番で上演しました。勇壮、華麗な舞に、手拍子が起き、会場は舞台と一体となって盛り上がりました。
舞が終わると、鑑賞していた吉里吉里小学校の1年生から4年生の児童たちが感想を発表しました。「踊りが上手。笛の音もきれい」「迫力があった。うまかった。すごかった」
吉里吉里中学校の生徒会長三浦蒼陽(そうや)君(15)は「小学生に教えることに不安があったが、絆が深まりました。力強く踊ることができました」と話しました。吉里吉里中学校の柳田正人校長は「地域と一体となって盛り上げることができました。小中一貫教育の足がかりになるでしょう」と語りました。
児童、生徒たちは5月から、合同で稽古を重ねてきました。ふるさとの良さを発見する。郷土芸能の担い手になる。小中学校のつながりを強める。地元の人たちに元気を届ける。四つの目標を立てて、中学生が小学生に教え、地元の保存会の支援を得て、技を磨いてきました。
大槌町では、来年度、吉里吉里小と吉里吉里中、大槌小と大槌中が、それぞれ9年制の小中一貫校に再編されます。全国に例を見ない「ふるさと科」は、小中一貫教育の正式科目になり、郷土愛や生きる力を育むことをめざします。
(大槌町総合政策課・但木汎)
連載【岩手・大槌町から】
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