殺伐としたコミュニケーションを「よし」とする風潮
「号泣県議」として悪評をかった元兵庫県議も、「罵倒」の対象となっている。ツイッターには「恥さらし。早く死ねばいい」「早よ死ねすぐ死ね」との言葉が並ぶ。元県議の不始末が問題視されているのは確かだが、だからと言って「死ね」を連呼するのは行き過ぎの感が否めない。
こうした書き込みをする心理について井上氏は、「相手には明らかな落ち度がある。自分は何も悪いことはしていない。自分にとって有利な立場だからこそ、ヤジ馬根性で『何か言ってやろう』と思い立つ。相手にダメージとなる最も簡単な言葉として『死ね』が出てくるのではないでしょうか」と推測した。
同時に、「ネット掲示板では以前、ある種の殺伐としたコミュニケーションが『よし』とされる風潮があり、それが悪い形で残っているのかもしれません」と指摘。ネットなら知らない相手に遠慮なく思ったことを吐きだして構わない、との「空気」もあり、面と向かっては言えないような言葉を平然と叩きつけている可能性もある。
だが、ネットは今や社会インフラといえるほど普及した。利用者が増大しているツイッターの書き込みは、街中で会話しているのと同義になりつつある。それでも最近、ツイッター上で「口論」となり、「おまえこそ人間のくずだ。死ね」と暴言を吐いた中野区議が辞職した。「売り言葉に買い言葉」でつい書き込んだのかもしれないが、代償は高くついてしまった。井上氏は「しかるべきマナーが求められるべきだ」と注意を促す。