感染拡大、制御できるのか?
エボラ出血熱は致死率が90%と、きわめて危険な感染症。予防のためのワクチンは存在せず、治療は対症療法のみだ。
患者の血液、分泌物、排泄物などにふれた際、皮膚の傷口などからエボラウイルスが侵入することで感染。感染の拡大は、家族や医療従事者が患者を看護したり、あるいは葬儀の際に遺体に接したりする際に引き起こされることが報告されている。
現地ではWHOが派遣した専門家や訓練を受けたボランティアが、感染の疑いがある患者の早期発見や、感染者の隔離などの活動を懸命に続けている。2014年7月15日には、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長が「事態は深刻だが、制御不能ではない」との見方を示した。
とはいえ、そのための「処方箋」はなかなか見当たらないのが現状だ。エボラ出血熱の感染は、いつ治まるのだろうか――。
前出の関西福祉大学の勝田吉彰教授は、「たとえば、現地では葬儀のときに死者をたたいたりする風習があるようですが、遺体には絶対にさわらせず、亡くなったらすぐに埋葬してしまう。そのようなことが強制的にできれば、感染者や亡くなる人を少なくできると思います」と話す。
ひとつ間違えば人権問題にもなりそうだが、勝田教授は「排除すべきことは強制的にでもやり、医師がきちんと治療できる環境を整えること。そして、時間がかかっても現地の人を教育していくことが必要です」と指摘する。