「事前協議不要」の「密約」、すでに効力失っている?
また、聯合ニュースは、「本音と建前」を使い分けているとも主張している。有事の際は事前了解を必要としない日米「密約」が存在するにもかかわらず、意図的にそれを無視した答弁をしているというのだ。
「有事の際適用される『密約』が現実的に存在する状況で安倍総理は公式合意だけを取り上げ論じたのだ」
この「密約」は、かつては存在したものの、現在では効力を失っているとされる。民主党政権下の10年3月に発表された「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会報告書」によると、1960年の新安保条約締結の際、在日米軍が行う「戦闘作戦行動」を事前協議の対象にすることで合意している。ただ、両国は「朝鮮議事録」として知られる非公開の議事録の中で、場合によっては事前協議なしに出撃できることでも同意していた。1969年の沖縄返還交渉に関連して、佐藤栄作首相(当時)について、報告書にはこのような記述がある。
「朝鮮半島有事の際に在日米軍が出撃することについて、事前協議において『前向きかつすみやかに態度を決定する方針』と表明した。首相によるこうした公式の表明にもかかわらず、朝鮮議事録の失効・置き換えに関して日米両国は明確な合意には達しなかったが、現状では、事前協議なしの出撃という密約は事実上有効性を失っているとみられる」
言い換えれば「密約」は、なしくずし的に反故にされた訳だ。