ベネッセ流出の派遣SE「カネが欲しかった」… 子どもの個人情報はそんなに高く買ってもらえるのか?

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   通信教育大手のベネッセコーポレーションであった顧客情報の流出問題で、顧客情報を持ち出したとされる、外部の会社で派遣社員として働くシステムエンジニア(SE)の男性が、「カネ目当てだった」ことを警視庁の任意聴取で明かした。

   流出した顧客情報は、ベネッセのサービスを利用したことのある子どもや保護者の名前や子どもの生年月日、住所、電話番号で約760万件、最大2070万件にのぼる。

仕入れ相場はだいたい30万円ほど?

ベネッセの顧客情報は高く売れたのか?(画像はベネッセのホームページ)
ベネッセの顧客情報は高く売れたのか?(画像はベネッセのホームページ)

   流出したベネッセコーポレーションの顧客情報は、通信講座の「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」など26のサービスを利用したことのある子どもや保護者の名前、子どもの生年月日、住所、電話番号。2014年7月15日のメディアなどの報道によると、警視庁は流出した顧客情報が、事情聴取している派遣会社の男性SEのIDでダウンロードされて持ち出されていることから、SEによる単独犯行とみている。

   SEが通常業務を装って、情報を記録媒体にコピーして持ち出したうえで売却したとみて、SEの勤務状況や流出ルートなどの詳しい経緯を確認。週内にも不正競争防止法違反(営業秘密の複製・開示)の疑いで逮捕する方針という。

   事情聴取のなかで、SEが顧客情報を持ち出した「動機」として明かしたのが「カネ」だ。SEの男性は事情聴取に対して、1軒の名簿業者の名前を情報の売却先としてあげているという。警視庁はSEがその対価として金銭を受け取っていた可能性があるとみている。

   顧客情報は複数の名簿業者の手に渡っているとされ、業者間で転売した可能性もある。

   とはいえ、気になるのはベネッセの顧客情報がいったいいくらで取引されたのか、だ。2014年7月14日発売の夕刊フジでは、オハラ調査事務所の小原誠所長が、「(名簿の)仕入れ相場は、だいたい30万円ほどといわれ、仕入れコストを分散する目的などから転売が繰り返されるため、複数の業者が同じデータを共有することになる。子どもの個人情報は息が長い顧客になる可能性を秘めているため、(相場よりも)高値で取引される傾向にある」と、証言している。

   また、1件あたり5~30円との情報もある。個人情報は、その内容でも価値が変わる。名前と住所だけのデータよりも、電話番号があればより価値は上がるし、これに生年月日や勤務先名、銀行口座やクレジットカード番号、さらには趣味などの情報に最近はツイッターやフェイスブックのアカウントなど、パーソナルな情報があるほど値段が上がる。

   加えて、情報量の多さでも変わってくるらしい。

小・中学校の同窓会名簿、原本買い取り1冊1万円

   名簿業者はインターネットでも複数が確認できる。それらのホームページには、全国の有名小学校や中・高校、難関大学の卒業生リストや同窓会、県人会や医師会にゴルフ会員権から、健康食品の購入者リストやスポーツクラブの会員、パチンコ攻略法や競馬必勝法の会員まで、驚くほどの名簿を網羅、かつ豊富な情報量をPR。それらのデータを買い取り、販売している。

   ある名簿業者のホームページによると、買い取りには名簿の発行年月を限定していたり、不正取得でない証明が必要だったりといった条件が付いているものの、たとえば小・中学校の同窓会名簿の場合、1冊1万円で原本を買い取るという。

   退職者リストや学会員、医師会などの名簿の場合で1冊5000円。ゴルフ会員権の名簿では2000~3000円になる。

   ベネッセの顧客情報がどの程度の値段で買われたのかは不明だが、やはりダイレクトメールなどで長期間使える子どもの情報は高額で買い取ることはたしかなようだ。

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