カネボウ化粧品の美白製品をめぐる「白斑被害」問題で、海の向こう韓国からも集団訴訟の動きが出ている。
すでに日本国内でも複数の訴訟が起きているが、「火の手」はとうとう海外にも広がった形だ。
韓国での補償が「安すぎる」?
「日本の被害者の一部は、カネボウが提示した補償額が少なすぎると集団訴訟を起こしている。しかし韓国では、その(少なすぎる)水準の補償さえも受けるのが難しい状況だ、と韓国の被害者は主張する」(韓国・ファイナンシャルニュース)
2014年7月13日、複数の韓国メディアは、カネボウ製品を使用して肌がまだらに白くなる、いわゆる白斑症状を起こした女性らが、日本での集団訴訟の準備を進めていると報じた。
「白斑」問題は2013年7月に発覚、被害者は約1万9000人に上る。カネボウでは原因となった美白成分「ロドデノール」が含まれる製品の回収を進めるとともに、6月には、比較的症状が重い被害者4000人に一時金として、1人当たり数十万円の慰謝料・休業補償などを支払う意向を発表した。また後遺症への慰謝料を上積みすることも検討中だ。
しかし治療法がはっきりわかっていないこともあり、なおも約1万1800人に症状が残っている。また各地では、1人当たり数百万~数千万円の補償を求める裁判が起こされるなど、カネボウにとってはなおも厳しい局面が続いている。
韓国内でも1万個以上が販売
そこに追い打ちをかけるように、韓国での訴訟報道だ。
問題の「美白」製品は、韓国では約1万3900個販売されたと推計され(発覚時点)、現地法人が被害者の調査、補償などに当たっている。しかし一部の被害者との間では交渉が不調に終わり、今回の訴訟となった。
弁護士は韓国メディアの取材に、現地法人の提示する補償額は、日本の「10分の1」程度に過ぎないと主張、日本で訴える方がより高額の補償を受けられるだろう、との見通しを述べている。今後は韓国内の被害者に参加を呼び掛けるといい、訴訟の規模はさらに拡大する可能性がある。
問題の製品は日本、韓国以外にも、アジアを中心に10か国で販売されていた。特に台湾では、約50人に白斑の症状が出ている。発覚から1年、問題収束の兆しはなかなか見えないのが現状だ。