エネルギー補給を訴求した炭酸飲料「エナジードリンク」市場が活況だ。2014年7月にサントリー食品インターナショナルが「リゲイン」を投入するなど、大手メーカーが続々参入している。
一般の清涼飲料に比べると割高だが、「元気が出る」というコンセプトが受け入れられているようだ。
400億円市場で陣取り合戦
サントリー食品は、第一三共ヘルスケアと清涼飲料で「リゲイン」の名称を使用できるライセンス契約を結び、「リゲイン エナジードリンク」を発売した。リゲインは1988年、旧三共が発売した栄養ドリンク。発売2年目に放送されたテレビCMのフレーズ「24時間タタカエマスカ」は、流行語大賞(銅賞)にも輝いた。現在も第一三共が医薬部外品として発売しているロングセラ-商品となっている。
エナジードリンクでは歌詞を「3、4時間タタカエマスカ」と現代風にアレンジ。女優のすみれさんが人気漫画「うる星やつら」のラムちゃん姿でサラリーマンを応援する設定で、テレビやネット、都心部の駅などで、大々的に広告を展開。「元気になる」成分として「アルギニン」や「ビタミンB1、B2、B6」などを配合するとともに、一般的なエナジードリンクより炭酸ガス圧を高めに設定、ブラックジンジャーエキスも配合することで、刺激的な味や香りを体感できるようにした。
「リゲイン」の希望小売価格は190ミリリットル缶で185円(税抜き)。ほかのエナジードリンクも同程度の価格設定で、一般的な炭酸飲料よりも高い。こうした価格の高さがブランド力につながり、若者を中心に支持を広げてきている。
富士経済によると、2013年のエナジードリンク市場は前年比3割増の355億円。今年はさらに2割増え、425億円になると見込まれる。清涼飲料市場全体が伸び悩む中、急成長を続ける見通しだ。
女性向けも限定販売
この市場のパイオニアは「レッドブル」。1987年にオーストリアで登場し、2006年、日本に本格参入した。2012年には「バーン」(日本コカ・コーラ)や、「モンスターエナジー」(アサヒ飲料)なども登場。今年に入ってから、ハウス食品グループの「サムライド」、エーザイの「ジョマ」、マルコメの「ハッコ」、チェリオの「ライフガードエックス」など、次々と新製品が現れている。このうち「ジョマ」や「ハッコ」は女性が主なターゲット。伊藤園もファミリーマートで女性向けの「スウィートエナジー」を限定発売するなど、若い男性に限らず、新たな顧客層の開拓を進めている。
サントリーは巧みな広告展開と商品戦略で、一気にシェアを獲得するのが得意。例えばビール「ザ・プレミアム・モルツ」は、サッポロビールの「エビス」を抜き去り、高級ビールでシェア首位に躍り出た。ノンアルコールのビール風味飲料「オールフリー」も、この市場の開拓者だったキリン「フリー」からシェアを奪った。エナジードリンク市場で「巨人」の「レッドブル」に挑むが、サントリーの参入により、市場全体が活気を増す期待もある。
多くのブランドが発売されては消えていく清涼飲料市場で、生き残るのはどの製品なのか。