菅義偉官房長官は2014年7月11日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演し、北朝鮮が拉致被害者などを調査するために「特別調査委員会」を立ち上げたことを、
「固く閉じた扉を、今回初めてようやく開けることができた」
と高く評価し、改めて独自制裁の一部解除に理解を求めた。
北朝鮮に渡した調査対象者リストについては「今日までの間に精査をしてきている」と述べ、全国の警察が捜査している860人からある程度絞り込まれている可能性を示唆した。
860人は「政府が正式に発表している数字ではない」
政府は、すでに帰国した5人をのぞく12人を拉致被害者と公式に認定しており、それ以外にも拉致の疑いが否定できない「特定失踪者」についても調査を求めており、菅氏は
「拉致被害者、特定失踪者を含めて、私たちは全ての日本人を取り戻すために全力で取り組んでいく」
と述べた。
全国の警察が拉致の疑いがあるとして捜査を進めている人数は860人にのぼるとされ、北朝鮮側の調査も長引くとの見方が出ている。この点を念頭に、
「拉致が疑われる人の数は860人にのぼると言われている。政府は拉致問題の最終的な解決を目指しているが、どのような形で解決するのか」
という質問も出た。これに対して菅氏は、
「この数字については、特定失踪者、民間の団体の方々が『北朝鮮に拉致をされただろう』という方たちが含まれている数字。これについては、政府が正式に発表している数字ではない。政府としても、そうした拉致をされた可能性がある人たちについては警察を中心に、今日までの間に精査をしてきているということ」
と応じ、860人からある程度絞り込んだ数を調査対象として北朝鮮側に提示したことを示唆した。
「北朝鮮はすべてを知っており、包み隠さすに報告することが大事」
菅氏は、6月9日の会見で調査対象者のリストをすでに北朝鮮側に渡したことを明らかにしているが、その時期やリストに掲載された人数については「内容にかかわることなので控えたい」と述べるにとどめていた。
菅氏によると、拉致問題は「安倍内閣の最重要課題」で、「北朝鮮はすべてを知っているわけで、包み隠さずに調査委員会等で報告することが大事」と強調した。