お笑い芸人の小籔千豊さん(40)が、芸能人への「無断撮影」をテレビ番組で批判した。この1か月でもきゃりーぱみゅぱみゅさん(21)や市川海老蔵さん(36)らが、買い物や移動中に無断撮影されたと明かしている。
ただ、「芸能人なんだから、しょうがない」「公人だから当然」という反対意見も少なくない。また、ネット上でも意見は二分している。
「公のお金で飯食ってない」
2014年7月11日の情報番組「ノンストップ!」(フジテレビ系)は、「『芸能人が無断撮影をがまん』はどう思う?」がテーマだった。ゲスト出演者は番組冒頭、
「がまんしない。嫌なものは嫌」(千秋さん)
「芸能人なんだから、しょうがないでしょ、それは」(山路徹さん)
「芸能人は『公人』ですから当然です。よろこんで(写真撮影を受ける)」(松居一代さん)
「『がまんせなあかん』(ということについて)、ちゃんとした論理的意見なら聞かせてもらいたいと思います」(小籔さん)
と、それぞれの立場を示して、トークに入った。
「公人」とは政治家など、公職についている人のことを指す。小籔さんは「公のお金で飯食っているわけじゃありません」と松居さんに反論。「それだけ好かれているんだから」といった街の声も、「(その理屈が通用するなら)きれいな女の人の乳さわってええんかい」と一蹴する。
千秋さんはテレビ局などでは「仕事」だから良いが、プライベートは「勝手に撮られるのは嫌」という。司会のバナナマン・設楽統さんは「小籔さんの熱量まで反対ではないし、松居さんほど寛容ではない」というケース・バイ・ケースの立場をとる。
山路さんは無断撮影を「職業的リスク」と考え、きゃりーさんのケースは「受け入れなきゃ、しょうがない」とする。「みなし公人」である芸能人は、芸能人になろうとした時点でプライバシー侵害のリスクを考えるべきで、無断撮影は「人気のバロメーター」だとした。なお番組で紹介された街頭アンケートでは、40人中22人が「芸能人にプライバシーはない」と答えていた。
「タレントも街の中へ出れば、一般の人とまったく同じプライバシー」
当事者ですら意見が割れる問題だけに、ツイッターでも、
「顔を売って人気を得てお金もらう商売やろ?それで一般人の何倍もお金もろてんのやろ?なら少しは我慢せんかい」
「芸能人だから無断撮影は許されるってのは、AV女優だから会えばレイプしても許されるってのと同じ気がする」
のように、両方の考えが出ている。
芸能評論家の肥留間正明さんは、芸能人も一般人同様にプライバシーはあるが、その内容は制限される。個人がブログやツイッターなどの「媒体」や、カメラを持っている限り、芸能人は「『いつ撮られるかわからない』という事を覚悟しなくちゃいけない」と指摘する。
しかしその一方で、「タレントも街の中へ出れば、一般の人とまったく同じプライバシーがあることを認識していただきたい」ともいう。
「僕は載せる側に対して、厳しく言いたいところがあるんです。なんでも匿名だからいいのかと、自分がわからなきゃいいのかと。ツイッターなんて『拡散希望』って言えば、それをどんどん広げちゃってもいい。これは無責任極まりないことで、逆に言うと危険なことです」