JR北海道の男性運転士(36)が車内全面禁煙にもかかわらず特急運転中にたばこを吸っていたことが2014年7月10日、明らかになり、処分される見通しとなった。度重なるJR北海道の不祥事に国民がため息を漏らす中、インターネット上では別の騒ぎが起きていた。
あるツイッターユーザーが10日に「貨物の運転士も喫煙しながら乗務していた!」と指摘したのだ。
一般的な旅客用車両では喫煙は原則禁止
分煙や禁煙が全国的に推し進められている昨今では、JR北海道に限らずJRグループ全体が原則として車内を全面禁煙にしている(一部新幹線や寝台列車、喫煙ルームなどを除く)。
それを念頭に、あるツイッターユーザーがJR北海道のニュースを受けて「JR北海道の貨物の運転士も喫煙しながら乗務してたな」とつぶやいた。ツイートはすでに削除されているが、喫煙する運転士が写った「証拠画像」も投稿していたようだ。
日本の貨物列車はほとんどの場合、JR貨物(日本貨物鉄道)がJRグループの保有する線路を借り受ける形で走らせている。そのためJR北海道の運転士というのは投稿者の勘違いで、実際はJR貨物の運転士を撮影したものと思われる。
このツイートは注目を集めたが、「貨物の場合は問題ない」とする声もあがった。元JR運転士という人物はツイッターで、
「JR貨物の運転士さんが『喫煙で運転中』をツイッター上にて晒されています。不特定多数がご覧になられる場所で一方的に晒す事によりその運転士さんの人生を狂わせる行動はしないで下さい。JR貨物の機関車運転台には灰皿とジュースホルダーが用意されています。従って会社としては許可されています」
とツイートした。
JR貨物「眠気防止の観点から認めている」
実際のところはどうなっているのだろうか。
JR貨物に取材したところ「運転中の喫煙は内規としても認めています」とのこと。運転台には灰皿が付いているそうで、同様にガムを噛んだり、飲み物を飲んだりしてもいいそうだ。
とはいえ、許可しているのはあくまで「眠気防止」のためであり、「運転中の喫煙を積極的に推奨しているわけではありません」という。
JR貨物の運転士は深夜や早朝に運転することも多く運転時間も長い。いわば長距離トラックのようなものだ。旅客列車を優先するために、しばらく停車して退避することも少なくないだろう。同じ運転士と言っても通常の旅客用列車の運転士とはかなり労働状況が異なる。
今回の騒ぎで初めて貨物運転士が喫煙できることを知った人たちからは「いいな」「タバコ吸えるし接客しなくてすむしめっちゃ天国やな」などという皮肉まじりの声もちらほら出ていたが、睡魔との戦いは、それはそれで大変なのだろう。
2002年8月には広島県福山市の山陽線を走行していた貨物列車が、運転士の居眠りのために上り坂で停車後、約500メートルを逆走。2007年8月には、東海道線を走行していた貨物列車が同じく運転士の居眠りによって自然停車したあと約500メートルを逆走している。
ちなみに、同じく長時間にわたって操縦をしなければならないパイロットはどうなのか。JALに聞いてみたところ「操縦中の喫煙は一切認めておりません」とのことだった。