「第2室戸」では記録の針が振り切れた
それでは戦後最大級と言われた「第2室戸台風」とは、どんなものだったのだろうか。進路が1934年の「室戸台風」に似ていたことから名づけられ、室戸岬(高知県)上陸時には、最大風速が66.7メートル(10分間の平均)、最大瞬間風速84.5メートル毎秒以上を記録。死者・行方不明者202人、負傷者4972人、全半壊6万棟の被害を出した。
気象庁・室戸岬測候所職員だった川邉昭治さんは「月刊うちゅう」2013年8月号(大阪市立科学館)で、第2室戸台風の思い出を語っている。室戸岬測候所では最大瞬間風速84.5メートル「以上」となったが、当時の風速計の観測上限は60メートル毎時だったという。
風が次第に強まり、記録紙から記録ペンがはみ出そうになったため、川邉さんらは回路に「抵抗」を入れて振れ幅を調整。必死になって何とか測った数値が「84.5メートル以上」だった。その後、記録機は気象庁に送られて検査され、記録上限は90メートル毎時までに改良されたという。それほどまでに前代未聞の災害だったのだ。
当時の室戸岬気象台の職員宿舎の写真も掲載しているが、瓦が一部落ちている。小学生の時に徳島県でこの台風を経験したという60代の男性は、「屋根瓦が飛びまくっていた。あんなすごい風の台風は後にも先にもない」と、恐怖の経験を語る。
しかし「第2室戸」も「伊勢湾」も50年以上前の災害のため、当時を知る人は少なくなっている。特に伊勢湾台風はピンとこないようで、ツイッターでは、
「伊勢湾台風ってなに」
「伊勢湾台風知らないのは俺だけなのか…」
「勢力がすごいことを表す例えに、『伊勢湾台風』はもうわからない人だらけ。わかりやすい例えに換えて欲しい」
といった声が出ている。
なお7月7日の「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)では、台風8号が07年の「台風4号」と似ていると指摘している。上陸時の中心気圧945hPaは歴代10位の低さだが、「第2室戸」や「伊勢湾」は9月に発生しているため、7月に発生した台風としてはトップになる。