京都・鴨川の河川敷では、大雨で増水した時などに、特別天然記念物のオオサンショウウオが発見されることがたまにあるという。
先日も発見されたのだが、これが思わぬ形で騒ぎになっている。オオサンショウウオの姿を知らなかった人が、巨大化したオタマジャクシと勘違いし、「放射能の影響が深刻だ」などとツイートしたのだ。
「こういう巨大化した生物が、原発を全廃するまで満ち溢れるだろう」
鴨川でのオオサンショウウオの目撃情報は、2014年7月3日夜からツイッターで投稿され始めた。5日未明には、「今朝、鴨川にもののけ…オオサンショウウオがいました!デカ過ぎる!!」という文章とともに、オオサンショウウオが道を這っている写真が投稿され、その大きさに驚いたユーザーが次々と拡散していった。
このオオサンショウウオの写真が、プロフィールに「反レイシズム・反ヘイトスピーチ・反原発・反戦」と書かれているあるツイッターユーザーの目に留まった。ユーザーは7月5日、写真を引用した上でこう投稿した。
「カエルの幼虫がここまで巨大化するとは・・・やはり日本中で放射能の影響が深刻してるようだ・・・」
「このカエルの幼虫が成虫になったら、犬や猫、下手したら幼虫の人間まで食われるかもしれない。こういう巨大化した生物が、原発を全廃するまで日本中に満ち溢れることだろう。これでも反・反原発派の連中は、原子力にしがみつくつもりか!?」(いずれも原文ママ)
これらのツイートが他のツイッターユーザーに見つかり、7月6日昼過ぎから急激に拡散され、「どっからどう見てもオオサンショウウオだろ」「カエルとオオサンショウウオの区別もつかんのか」「冗談ですよね?国の天然記念物をご存知でない?」などとリプライが寄せられた。
「俺はここで消えるが、これで終わったわけじゃない!」とアカウント削除
「カエルの幼虫」ツイートをしたユーザーは急に拡散されたことに驚いたようで、「おい!なんなんだよ!これ!アベk(原文ママ)!?公安か!?」「備忘録 14時頃からサイバー攻撃を受けている」などとツイートしたが、これに対しては「あなたの不適切な発言による炎上でしょう」と諌めるリプライが寄せられた。
「オオサンショウウオはカエルとは違います。これで成体です。なお、オタマジャクシはカエルの幼虫でなくカエルの幼生が言葉としては適切です」という丁寧なリプライにも、「そんなの見たことないから知るわけないよ。センターは化学と物理だったし」と返し、さらなる失笑を買うことになった。
結局勘違いに気付いたらしいユーザーは、7月6日中に
「どうやらカエルの件は俺の早とちりだったようだ。その事自体は特に恥じることもないが、それにかこつけて反原発派を批判中傷する輩が増えているため、俺はここにこのアカウントを削除する事を宣言する。俺は一時消えるが、これは決して敗北ではないことを理解して欲しい」
「俺を批判するのもいい、俺をあざわらうのもいい。だがしかし!それを理由にして反原発運動や反戦、反ヘイトをあざ笑うことは決して許さない!それだけは覚えておけ!!俺はここで消える!だが、これで終わったわけじゃない!おれはいつか必ず帰ってくるぞ!!」
との捨て台詞を最後にアカウントを削除してしまった。
ちなみに、今回のオオサンショウウオの目撃について京都市役所の文化財保護課に問い合わせたところ、ここ数日で流されてきたかもしれないが、現在の鴨川はそこまで濁流ではないので、もしかしたら以前流されてきて付近に棲みついた個体かもしれないと話していた。鴨川の水質はかなりきれいになっていてエサも豊富なので、オオサンショウウオが棲みつく場合もあるという。今回発見されたオオサンショウウオは、無事に自力で川に帰って行ったようだ。