メキシコ、NZと関税引き下げ協議 TPP交渉で米国を揺さぶる狙い

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   日本政府が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加国であるメキシコ、ニュージーランドなどとの間で豚肉や乳製品などの関税引き下げに向けた個別協議を進めていることが一部の新聞報道などで明らかになった。

   関税引き下げはTPPの全体協議の大きなテーマの1つだが、帰すうを左右するのが農業の輸出国・米国と最大輸入国・日本の2国間協議。2014年11月に中間選挙を控えた米国が日本への要求水準を下げず強硬な態度を続けている中で、米国と競合する農業輸出国との合意を先行させ、米国に揺さぶりをかける戦略のようだ。

「米国が譲歩しないなら、日本はそれでも構わない」

   政府関係者などによると、日本はメキシコと2005年から経済連携協定(EPA)を結んでおり、高級豚肉の関税率を4.3%から2.2%に引き下げる優遇措置を導入している。日本はEPAで数年ごとに協定内容を見直す規定があることに従い、さらに関税を引き下げる方向で検討に着手。14年7月上旬に自民党の西川公也TPP対策委員長が同国を訪れ担当閣僚と会談し、新たな方針を伝えるとみられる。政府も早ければ月内に交渉団を派遣する予定だ。

   一方、酪農大国であるニュージーランド(NZ)に対しては、チーズやバター、脱脂粉乳などの乳製品について低関税輸入枠を設ける方向を検討中とみられている。同国は米国とともに日本の農業市場の閉鎖性を批判してきた。日本はTPP交渉でコメや牛・豚肉と並び乳製品も「聖域」として関税の維持を国内公約しているだけに、国内農家への影響が限定的な方法でNZと妥協を図りたい意向だ。

   日本は4月にオーストラリアとの間でEPA交渉を妥結させ、牛肉関税を段階的に引き下げることで合意した。メキシコやNZとも同様の関税交渉で合意できれば、日本市場における米国産肉のシェア低下が確実なため、「米国が譲歩しないなら、日本はそれでも構わない」(政府高官)との声が出ている。

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