ここ数年、国民への大盤振る舞いが目立った
デフォルトを回避するには米最高裁の判断に従ってファンドにお金を返済すればいいのだが、2001年に減額要請を拒否し、訴訟を起こしていない他の投資家も多く、彼らからも返済を求められると、返済総額は計150億ドルにも達するとされる。アルゼンチンの外貨準備は300億ドルを切っており、その半分以上が借金返済で吹き飛びかねないだけに、おいそれと支払いに応じるわけにはいかないところだ。
債権カットに応じた投資家への利払いの期限は6月30日だったが、直ちにデフォルトになるわけではなく、30日間の猶予期間がある。アルゼンチン政府は減額を拒否するファンドなどと交渉し、7月末までに何とかデフォルトを回避する方策を模索するが、「見通しは全く立っていない」(国際金融筋)のが実情だ。
このため、アルゼンチンショックの再来を連想した人も多いが、2001年のような緊張感はない。アルゼンチンは財政再建途上で、国際金融市場ではまだ半人前。海外で国債を発行できない状態が続いており、「影響が連鎖的に広がる可能性は低い」(国際金融筋)というのが大きな理由だ。
ただ、やせても枯れても南米の大国の一角だけに、国際的に動揺が広がる恐れがないわけではない。特にここ数年、国内の政治的要請で自国産業を保護するための助成金、公共料金を抑えるための補助金など「国民への大盤振る舞いが目立った」(エコノミスト)。こうしたポピュリズム(大衆迎合)政治の下、財政赤字を補填するため中央銀行が無理に資金供給して外貨準備が減少、通貨ペソが急落し物価は上昇するという悪循環に陥り、今年はマイナス成長必至とみられるように、経済状況が悪化している。