中国と台湾で戦後最大級の政治的な動き
実は、日本と台湾が「國立」問題で揺れていたとき、中台間では「戦後最大級」の政治的な動きがあった。中国で台湾問題を担当する張志軍(チャンチーチュン)・国務院台湾事務弁公室主任(閣僚)が、台湾を訪問したのだ。台北・故宮展開幕翌日の25日のことだ。
中国の台湾担当閣僚の訪台は1949年の分断後初めて。両国間の関係は、これまでの民間窓口を通じての交渉から閣僚級の相互訪問、直接会談に格上げされることになった。
「台湾は中国の領土の一部」とする中国閣僚の初訪台については、当然ながら台湾国内では強い反発が予想された。馬政権の「國立」をめぐる唐突ともいえる反発は、タイミング的にはこの「張訪台」の直前に、国内に対し「台湾は國」であるということを強く伝えるメッセージにもなった。
不気味な沈黙を続けていた中国に、開会後に少し動きがあった。
産経新聞によると26日、在日中国大使館の楊宇報道官は、記者会見で、東博での台北・故宮博物院展について、「日台の間で正常な民間交流を進めることに異議はない」と語ったという。総統夫人の日本での開会式出席が消え、張氏が無事訪台した翌日のことだった。わざわざ「民間交流」と述べている。
日本の各マスコミは、開会前も開会後も基本的に「國立」抜きで「台北・故宮展」の紹介を続けている。「台北・故宮」の院長を紹介する人物記事でも「國立」はないが、そうした「國立抜き報道」にはクレームはないようだ。