山本太郎議員、「強制排除」or「安全誘導」? 官邸前デモ動画がネットで論議

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   集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対する官邸前デモで、山本太郎参院議員が、安全誘導をした警察に「強制排除だ」と抗議した動画が話題になっている。むしろ安全誘導を否定するものではないか、という指摘もあるのだ。

   「安倍は辞めろ!」「戦争反対!」。安倍晋三内閣が閣議決定した2014年7月1日は、官邸前にデモ隊が大勢詰めかけ、シュプレヒコールで気勢を上げた。

警察側は、将棋倒しを防ぐためと説明

   ジャーナリストの岩上安身さんがユーストリームでこの日配信した動画を見ると、デモの最中に警察がメンバーを移動させようとした。すると、デモ隊の中にいた山本太郎議員は、目の前にいる警察官らに抗議し始めた。

   しばらく移動しながらのにらみ合いが続いていたが、山本議員は突然、地面に尻もちを付く形になり、「おい! おい!」と警察官の方を指差した。

「暴力による排除は止めろ!」

   山本議員は、マイクを持つや、こう叫んだ。そして、「マスコミも見ているぞ」「警察側の責任者どこや」と追及を始めた。山本議員は、警察官に腕をつかまれ、ひねられたり、鼻血を出したりした人もいると訴え、通行する自由があるのに、強制排除ではないかと警察側を非難した。

   これに対し、警察側は、前日のデモで将棋倒しが起きそうになったので、メンバーらの安全を守るために移動してもらったと説明した。

   山本議員は、前日の現場には来ていなかったとしながらも、「警察が押せば将棋倒しになることは、自分が身を持ってそれを証明していただいたんです」として、責任は警察にあると反論した。一方、警察側は、「押していません」「暴力による排除は行っていません」と否定し、しばらく話し合いが続いた。

   その後、移動を始めてから30分近くが経って、警察側は、「じゃあ、行きましょう」と道を開けた。デモ隊は元の場所に戻り始めたが、どのような話し合いがあったのかは動画では分からなかった。

「通行を妨げているのは、制服の皆さんなんです」

   デモ隊が元の場所に戻った後でも、山本太郎議員は、その場で警察側と話し合いを続けた。

   警察官が「あっちもこっちも人で、車も通れなくなっちゃうんです」と説明すると、山本議員は、「それだけの人、集まってますよね。数万人規模で集まっていれば、狭くなっちゃう」と認めた。しかし、「一車線、このデモのために渡してもいいんじゃないですか」と一歩も引かなかった。

   さらに、警察側が「緊急車両も通れないんですよ」「一般の人も通れるようにしないと」と言うと、山本議員は、こう断言した。

「通行を妨げているのは、制服の皆さんなんです。官邸の壁だけ見てデモをやれというのは、あまりにもおかしい。僕もお願いしたいんです」

   その後も、デモ隊の前でマイクを取り、「警察の皆さん、押さないで下さい。非常に危険な状況です。お仕事なのは分かりますが、さきほどの場所に戻して下さい」「青い(制服の)7人、どきなさい! 人が圧迫されています」と叫んでいた。

   山本議員の抗議行動について、ネット上では、「市民を庇って警察を静まらせてくれた太郎さん、本当に素敵です!」「警察がこんなことするなんておかしいでしょ…」と共感の声はあった。一方で、「山本太郎氏が『強制排除だ』と妨害していた!」「警察は任務遂行してるだけですが」といった疑問の声も多かった。

   山本議員の国会事務所に取材すると、現場の状況が分かる人がいないので、なんとも答えられないとのことだった。警視庁の広報課では、「発表事案ではないので、お答えできません」とだけ話している。

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