のれんや絵馬、凝った中吊り広告増えて健闘しているが…
とはいえ、中吊り広告は減りつつある。
ここ数年は、布製ののれんを用いたり、絵馬を装ったりと立体化して、乗客をあっと驚かせるような、凝った中吊り広告が増えているが、「大きな流れとしては、デジタルサイネージが中吊り広告に取って代わっています」と、「交通広告ドットコム」を運営するムサシノ広告社は話す。
電通の「2013年 日本の広告費」でも、13年の交通広告(空港・タクシーを含む)は前年比1.5%増の2004億円。4年ぶりに2000億円台に回復したものの、増えているのは新設や増設が続いているデジタルサイネージで、なかでも車内ビジョンの稼働率は高いという。
デジタルサイネージの場合、スペースが決まっている中吊り広告と異なり、1か所に多くのクライアントが入ることが可能で「媒体料金もかなり安い」。車内であれば、交通情報とともに自然と目に入りやすいというメリットもある。
インターネットには、
「モニターばかりで、疲れちゃう」
「あれ(中吊り広告)はあれで情緒があっていいんだが…」
「文字や映像だと、流れちゃって見逃したらおしまいじゃん」
などと、中吊り広告を惜しむ声が寄せられている。
山手線の新型車両から中吊り広告が消えることについて、前出のムサシノ広告社は「媒体料金など詳細についてはまだ不明な点が多く、わからないのが実情です。クライアントにも説明できていません。すぐにすべてが入れ替わるわけではないでしょうが、山手線となるとインパクトはあります。これまでは中吊りとデジタルサイネージと、うまく棲み分けできていたのですが…」と話している。