政務活動費の不明朗支出が指摘された野々村竜太郎兵庫県議(47)(無所属)が、会見で号泣して潔白を訴えた様子がネット上で話題だ。そこまで感極まったのには、ワケがあるようだ。
「高齢者問題は、わが県のみ…ウゥアアア…わが県のみなら…ウアアア…わが県のみならず、西宮…日本人の問題じゃないですか!」
活動内容分からず、城崎温泉に1年間106回も出張
兵庫県庁で2014年7月1日に会見した野々村竜太郎議員は、記者からの突っ込みを受けて、泣きながら声を上ずらせた。訴えるように右手を何度も振り、机もドンドンと叩く。
「世の中を変えたい…その一心で、やっと議員になったんです!」
野々村議員は、こう熱弁を振るうと、記者をにらみつけて、「あなたに分からんでしょうね」と捨て台詞を吐いた。
不明朗支出の問題が表面化したのは、神戸新聞が6月30日付夕刊でスクープしたからだ。県議会事務局の総務課によると、この日、政務活動費の13年度収支報告書が閲覧できるようになり、それを見た記者が記事を書いた。
野々村議員は、2日に1回以上に当たる1年間195回もの日帰り出張をし、往復の切符代などとして約300万円を支出していた。その内訳は、兵庫県の城崎温泉駅が106回、佐用駅が62回、県外では、博多駅が16回、東京都内が11回だった。
陳情などの名目だったが、活動内容についての記載はなかった。領収書も添付されていなかったが、総務課によると、券売機で切符を買ったときなどは例外で、外形的な違法性はないという。
温泉などに行っていたのではないかとの憶測も出ているが、野々村議員は会見で、活動内容は明かさずに、「議会の手引きに従った適正な内容」だと潔白を主張した。議会に不適切とされれば返納も検討するとしたが、記者の追及が長々と続くと、感極まって号泣してしまった。
「怒られた時の小学生と同じレベル」「こんなのが議員って」
会見の様子がテレビなどで流されると、ネット上では、驚きの声が上がった。「何これギャグでやってんの?」「ふなっしーかと思った」といった書き込みが相次ぎ、県民の代表である議員が追及されて号泣したことには、「怒られた時の小学生と同じレベル」「こんなのが議員って」と厳しい指摘も出た。
実は、野々村竜太郎議員は、これまでに4回の落選経験があった。
兵庫県川西市役所で15年間職員をした後、08年から太子町長選、西宮市長選、県議補選、また西宮市長選と次々に挑戦し、いずれも最下位で落選していた。11年4月の県議選で初当選したが、それも最下位だった。
このときは、大阪市長の橋下徹氏にあやかってか、「西宮維新の会」を独自に名乗り、橋下氏の大阪都構想に似たような「ワン西宮」の政策を唱えて当選した。
野々村議員は、「やっと議員になった」と言っていることから、会見で号泣したのは、こうした苦労があったからかもしれない。さらに、野々村議員に取材しようとしたが、議会のスタッフは、会見後の取材には応じていなかったといい、本人に何度電話してもつながらなかった。