「自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないこと」
民主党の辻元清美衆院議員が、戦争時に米輸送艦が日本人を輸送した先例について質問したところ、外務省の三好真理領事局長は
「過去の戦争時に米輸送艦によって邦人が輸送された事例があったとは承知いたしておりません」
と答弁した。さらに辻元氏は、米国政府による「外国にいる米国市民及び指定外国人の保護と退避に関する国務省と国防総省との間の合意メモ」の存在を指摘し、その内容について説明を求めた。これに対して、冨田浩司北米局長が、
「カナダ及び英国を含む全ての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないことが求められる」
とメモの内容を読み上げた。つまり、(1)戦争時に日本人が米艦に輸送された事例はない(2)そもそも米国は自国艦船に外国人を乗せて退避させることを望んでいない(3)日本人が乗らない艦船の防護を米国が日本政府に要請することもない、といった点が明らかになったわけだ。
辻元氏が
「現実は、安倍総理が言うように、米国から日本人を輸送してもらう米輸送艦の防護の要請が事前に来るどころか、米国側は『米輸送艦による日本人の救出は事前には約束できない、自分でやってください』と。そもそも想定していないと思いますよ」
と念を押すと、加藤勝信官房副長官は、
「『米国側は米国側の方針』というのはそのとおりだと思うが、いろいろな有事を考えたときに、起こり得る事態から、その事例も含めて(与党協議で示した想定事例の)15事例を出させていただいた」
と答弁。米艦防護の想定が現実離れしていることを暗に認めているともとれる。