大ヒット漫画「進撃の巨人」の作者、諫山創さんのアシスタントをしていた漫画家が初めての連載を持つことになった。連載が決まったのは数か月前で、連載用5話分の原稿と続きとなる何話分かのネームを仕上げていたのだが、開始2日前に取り消しの判断が下された。
これについて諫山さんがブログで、「一人の漫画家の人生を何だと思っているんだ」などと出版社に対して激怒したため、背景に何があったのか、ネットで様々な憶測を呼んでいる。
「有害図書指定」に当たる可能性がありコミック化できない?
連載が取り消しになったと報告したのは漫画家のやまもとありささん。コミックゼノンのWeb漫画サイト「ぜにょん」で14年6月29日から開始するはずだった自身初の連載が、2日前の6月27日に編集者から連載取り消しの連絡を受けた、と2014年7月1日付で自身のブログで明かした。理由は、徳間書店担当者が「有害図書指定に当たる可能性がある」としてコミック化はできないと判断。それを連載させても意味が無いという結論になったのだという。やまもとさんは、
「連載の報告をしたときたくさんのお祝いの言葉をいただいたのに、こんな形になってしまい恥ずかしく思います、すいませんでした」
とブログで謝罪した。14年5月15日には、
「コミックゼノン本誌に告知が載っているとおもうのですが、6月29日よりゼノンのWEB版ぜにょんというサイトで初めて連載させていただくことになりました」
と初連載の喜びを綴っていた。
こうした展開に「信じられないことがおこりました」と怒りを露わにしたのが「進撃の巨人」の作者の諫山さんだ。作者は自分の表現を突き詰めるために時間と労力を費やし、その間の数ヶ月間は収入のない状態で作品作りに賭ける。原稿5話と何話かのネームが出来上がった状態であるにもかかわらず、その2日前に全てがナシになってしまった。
「タダじゃ済まされることじゃありませんが タダで起きるべきでもないと思います」
やまもとさんの連載が決まったとの報告を受けたのは「進撃の巨人」の原稿作業中だった。上京して数年間、何度も挑戦し続けた連載を初めて手にしたその瞬間に諫山さんも立ち会った。やまもとさんが小さい声で「...連載決まりました」と告げた瞬間は〆切数時間前の職場が華やいだし、こらえるように涙声でトーンを削る姿に諫山さんも何かこみ上げるものがあった。それがいきなりの連載取り消し。
「人一人の人生に確実に影響するとわかった上で下された判断が 一体どれほどの健全な青少年を救ったのか 知りたいと思いませんか?」
と訴える。