安倍首相は2014年7月1日の臨時閣議で、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした。東京・永田町の首相官邸前で抗議デモが活発化して、「解釈改憲反対」などの声をあげていた。
デモに関する報道は大きく取り上げたテレビ局もあれば、ほとんど扱わない局もあり、それぞれの「温度差」が浮き彫りになった。
「戦後の安全保障政策の大転換になる」
積極的にデモを扱ったのはテレビ朝日系の「報道ステーション」だ。閣議決定前日の6月30日から、首相官邸前デモの様子を大きく取り上げた。現場の映像は、車道にあふれだしそうなほどの大量の人々を警官がおさえこむ様子で、3万5000人を超える人々が集まったと伝えた。仕事帰りの会社員や子連れの家族などが参加したという。打ち鳴らす太鼓の音や「憲法守れ」の叫び声が「安倍首相にも聞こえているはず」とリポーターが話していた。
閣議決定のあった7月1日の放送では約30分の特集を組み、番組冒頭から官邸前からの中継映像を放送した。夜10時にもかかわらず参加者はまだ多く、ツイッターやフェイスブック経由でデモを知り、自分の意思で参加したという若者の参加者もいたという。司会者の古舘伊知郎氏は
「自衛隊発足から60年、今日7月1日は後で振り返りますと、戦後の安全保障政策の大転換になる、そういう日です。憲法解釈の変更、集団的自衛権の行使容認の日です」
と重々しく話した。
TBS系の「NEWS23」でも同様に、6月30日には官邸前デモを報じていた。主催者発表で1万人以上が集まったと言い、100メートル以上の長い列ができていると伝えた。アンカーを務める毎日新聞特別編集員の岸井成格氏は、集団的自衛権の行使容認について「これまでの議論をみているとあまりにも拙速といわざるを得ない」「われわれが納得できる説明がまったくない」と強い口調で批判した。
7月1日は「戦後日本の大転換」であると番組トップで扱った。デモは夜11時を過ぎても多くの人であふれかえっていて、前日よりも警官や警察関係車両の数も増えたという。他にも広島や大阪など全国各地で行われた抗議デモの映像も流していた。