自民党の鳩山邦夫元総務相の2013年分の所得が29億3757万円で、他の国会議員をぶっち切ってトップとなった。
鳩山氏の所得について、菅義偉官房長官は「個人的には、やっぱりうらやましいなあと思う」と漏らしたというが、きっと国民の多くもそう思ったに違いない。ちなみに、菅官房長官の所得は鳩山氏の134分の1ほどの約2200万円だった。
売却には絶好のタイミングだった…
衆参両院は国会議員の2013年分の所得に関する報告書を、14年6月30日に公開した。議員1人あたりの平均所得は2281万円(衆院2475万円、参院1741万円)で、前年から275万円(13.7%)増えて、この5年で最高となった。増加は2年連続。
所得公開の対象は、13年1年間を通じて在職した648人(衆院477人、参院171人)で、13年7月の参院選で当選した新人や元議員は含まれていない。
そうした中で、所得が最も多かったのは29億3757万円だった自民党の鳩山邦夫元総務相。内訳は給与所得が1960万円、その他の所得が29億1797万円で、前年より約26億円増えた。鳩山氏の所得は2012年に続くトップで、現行制度で公開が始まった1992年分以降の歴代最高額だった。
鳩山氏を除く647人の平均所得は1831万円。前年平均の2006万円を下回る計算になるので、鳩山氏の所得が全体の平均を押し上げた格好だ。
鳩山氏の事務所によると、所得のうちの大半は、2013年2月に亡くなった母の安子さん(享年90歳)から受け継いだブリヂストン株や自身が保有する株式の売却や配当で得た。相続税に充てるために売却したという。
国内の株式市場は2008年秋のリーマン・ショック以降、民主党政権時の12年の衆院選前まで低迷していた。
ブリヂストン株も例外ではなく、12年の大引け(12月28日)の株価は2224円。その後、安倍政権の経済政策「アベノミクス」によって円安株高となり、13年12月30日には3980円まで上昇した。
朝日新聞(6月30日付夕刊)によると、鳩山氏がブリヂストン株を売ったのは「13年11月ごろ」というので、株価は3750円前後で推移していたときだ。株価は12年12月と比べて68%も上昇していたことになる。
さらに、14年1月からの少額投資非課税制度(NISA)の導入にともない、株式の譲渡所得税の軽減税率が廃止されたこともある。売却するには絶好のタイミングだったようだ。