伝えたかったのは「こころの怖さ」
発表から半年、この詩がふたたび注目をあびることになったきっかけは14年6月29日、新宿駅南口で起きた焼身自殺未遂事件だ。歩道橋の上で集団的自衛権について熱弁する男の姿は、ツイッターなどを通じて全国に拡散されたが、画像を見てもあまり関心を持てなかった人は多かったようだ。
この無関心さを的確に言い当てているとして、あるツイッターユーザーが「焼身自殺にピンとこない、じゅんびばっちりな自分に驚いた」と詩を転載すると、リツイートは約1万7800、「お気に入り」は約1万5000(いずれも7月1日17時現在)と話題になった。
7月1日朝には連立与党が、集団的自衛権の行使容認に合意した。午後の閣議決定を前に、詩は午後1時からの「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送)でも紹介され、アシスタントの眞鍋かをりさん(34)が全編を朗読している。
この詩には「反戦」のイメージが付きつつあるが、宮尾さんが訴えたいのは「戦争」の危機そのものではないようだ。以前のブログ(2月13日)では、
「誤解もされていますが。わたしの言いたかったのは、戦争のことよりひとの『こころの怖さ』なのだと思います」
と説明していた。「戦争」の部分ばかり注目されていることもあり、宮尾さんはツイッターで1日、
「ほめてもらったり、こづかれたり、せなかをおしたり、ふんづけられたり、いろいろのようですが。だしてしまったら、ひとりあるきを、せねばなりません。ねがわくば、よいしごとを、してくれと、いのるばかりです。ありがとうございます」
と複雑な心境を明かしている。