ワタミが最終赤字になったことについて、創業者の渡邉美樹氏(54)が、「絶対に繰り返すな」などとフェイスブックで発言した。
2014年3月期の業績は、ワタミが上場して以来、初めて最終赤字に転落した。
ブラック企業は「風評だ」と認めず
それは、別の要因もあるが、人手不足から、居酒屋チェーンで14年度に全体の1割に当たる60店舗を減らすことが大きいようだ。また、その影響は採用にも及び、14年度の新入社員は、当初予定の半数に当たる120人に留まった。
産経新聞によると、渡邉美樹氏は、6月29日の株主総会後の講演で、「『ブラック企業』との風評が広まり、居酒屋の客足だけでなく介護や食事宅配サービスの売り上げにも影響した」と強調した。どうやら、人手不足は風評被害の結果だと言いたいらしい。
この報道に対しては、ネット上で、反発の声が相次いでいる。意見としては、「風評ではなく事実ではないか」といったものが多い。
過労自殺問題などが次々に明るみに出たからだが、現在もメディアなどで様々な報告が寄せられている。
ワタミの居酒屋で働いた経験があるというライターのナインさんは、就職情報サイト「キャリコネ」の6月5日付記事で、サービス残業の実態を明かした。社内では、売上に対する人件費の最低ラインを超えてしまうことを「ノーコン」と呼び、そうなると店員は土曜日朝の会合に呼ばれて説教されるというのだ。その結果、ノーコンを防ごうと、店員らがサービス残業をする悪循環が続いていたとしている。
「仕事を忘れてリフレッシュ」の発想はない?
こうしたことが、どこまで本当かは分からない。しかし、ワタミが社内に設置した有識者委員会では2014年1月、「所定労働時間を超える長時間労働が存在する」などと報告していた。60店舗を減らすのは、労働環境を改善するのが目的だった。
しかし、渡邉美樹氏は、ブラック企業を事実とは認めていないようだ。労働環境改善のための赤字にも、厳しい姿勢を示している。
フェイスブックで6月29日、「一度遅刻をした人を許すことが出来るのは『たまたまだった』と相手を信じてあげられるからです」として、「今回のワタミの赤字は、絶対にその一回の遅刻と同じでなければいけません」と述べたのだ。「毎回遅刻する人は信用を失います、毎回赤字を出す企業はそれ以上です」とも言っている。
「365日24時間死ぬまで働け」。こんなタイトルを掲げた社員向け理念集が明らかになり、ワタミは有識者委員会からの指摘を受けて改訂し、株主総会でも報告された。しかし、改訂後も「働くとは生きることそのものである」との表現になっており、生活の中心は仕事だと読むこともできる。そこには、「休みの日は、仕事のことを忘れてリフレッシュを」という発想はないらしい。