ドワンゴの運営する「ニコニコ動画」のユーザーによる生放送番組で、川に沈められた猫の様子が生中継された。「ぷりお」と名乗る男性ユーザーが行った「野生猫を川に沈めにいく放送」というタイトルの放送でのことだ。
「悪さをする猫を処分します」という説明文が書かれた動画で、ユーザーページからはログが削除されたが、それを録画した一部がYouTubeなどに再アップロードされた。動画を見た人は「絶対許せない」と憤っている。
「近所で悪さする猫を殺さねえと」
2014年6月29日15時ごろ、「ぷりお」自身がカメラ撮影し、その様子を「実況」する形で放送された。揺れる画面には川の浅瀬に置かれた金属製の檻が映り、中には白い猫が入れられていた。男性は川岸に立って「くそっ水が。あともうちょっと。だめだ微妙に浅いんだよな」としゃべりながら、金属の棒を使って檻ごとさらに深くに沈めようとしていた。
猫の体は半分程度、水に浸かっていたが、それ以上はあきらめたようで、「これでいいや沈められねえ。ああやっておくしかないよ。まだ生きてるけど、震えてきてるから。早く処分したいけど、どこ探しても浅いし。檻が重い」と、川の浅瀬に放置したまま車に乗り込んで、来た道を引き返し始めた。
視聴者から「放送でやるなよ」「非常識ってやつだな」「頭おかしいと思う」「愛護団体に通報しますた」といった言葉が絶え間なく書き込まれ、コメント読み上げソフトの機械音声がそれを男性に伝えていた。それに「うるせーあとで処分してきますよ」と反応し、笑いながら車を走らせていた。
男性は猫を処分する理由について、
「動物だって命だからあんまり殺したくねえけど、おれの古民家に来て、屋根裏来て悪さして、昼飯のスパゲティなりそうめんなりを散らかして、野生で病気持ってる猫がよう、家の中に入ってきて飯とか漁られるとこっちが困るんだよ」
と主張した。
視聴者からの批判には、
「じゃあなんでイノシシとか殺すんだよ。なんで鳥獣駆除とかしてんだよ。なんで鹿とか殺してんの。人間に悪さするからでしょ。馬鹿かおまえらは。これはそこらの野良猫とちゃうんだよ。近所で悪さする猫を殺さねえと」
と反論した。
動物愛護管理法違反の可能性
檻に猫が入れられ、沈められていく行為が人の手で行われた場合、法律上の問題はないのか。環境省の動物愛護管理室の担当者によると、動画のみでは詳細はわからないが、自治体の実施している、やむをえず行っている殺処分とは異なり、不必要な行為を「みだりにやっている」可能性があるという。
「動物愛護管理法の第44条にある『愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する』に該当する可能性があります。また、『愛護動物に対しみだりに虐待を行った者は100万円以下の罰金に処する』にあたる可能性もあります」
では、迷惑な猫にはどう対応するのが適切なのか。
「まずは猫が入って来るのを防ぐのが最初です。例えば地域の方々と話し合うというのがあります。その中で難しいとなると、保健所とか動物愛護センターで相談される方もいます。ただし、すべてを動物愛護センターに持ち込むと、機能が停止してしまう可能性もあり、地域の中で解決してほしいというのがあります」
保健所に持ち込んだ場合も、すぐに殺処分という選択肢にはならないそうだ。
「大事なのは次の飼い主に渡すことができるかどうかです。やらなきゃいけないこと、努力をしなければならないことがあります」