働く女性の9割が「エア恋愛」妄想にふけっている――。こんな実態が、調査で明らかになった。専門家は「片思いも妄想の一種であり、妄想は現実の恋愛の準備としても有効であるといえる」などと話している。
「好きな芸能人と壁ドンなどのシチュエーションを妄想」
調査を行ったのは携帯電話のアプリ開発などを行うサイバード社。2014年5月29日から30日にかけて、20~30代の働く未婚女性500人を対象に、女性の恋愛に関する妄想、すなわち「エア恋愛」について調べた。
それによると、「エア恋愛をしたことがある」と答えた人は全体の9割にものぼった。内容は「好きな芸能人と壁ドンなどのシチュエーションを妄想する」(神奈川県・34歳)、「男らしく俺様タイプの人に強引にこられる」(広島県・31歳)「逆ハーレム!美形しかいないおきまりパターン」(東京都・30歳)、「困っているところを助けた男性が実は資産家だった。偶然、再会し恋愛関係になる」(愛知県・27歳)といったものだ。
年齢が上がるにつれて、趣向も変わっていくようで、「架空感が年々増してきている」(埼玉県・28歳)、「マンガやアニメに出てくる好みのキャラクターたちとの恋愛を妄想するようになった」(埼玉県・22歳)と言う人や、「学生の時のような初々しくキュンキュンするものを求めるようになった」(福岡県・32歳)、「行動やシチュエーションについては経験を重ねるにつれてより具体的になるが、具体性とは反対に相手に対する理想は高くなった」(長野県・27歳)といった体験談も出た。
恋愛における妄想は「恋愛のイメージトレーニング」
こうした「エア恋愛」について、『マンガde恋愛学』(飛鳥新社)、『結婚しないの?できないの?』(ディスカヴァー21社)などの著書があり、恋愛学の権威として知られる早稲田大学教養学部の森川友義教授(政治学)はこう分析している。
「恋愛における妄想はつまりは『恋愛のイメージトレーニング』で、人が日常的に行なっている行為です。恋愛のステージにおいて、人間が最も妄想力を働かせるのが"片想い"の時期です。"片想い"という行為自体が、本質的には妄想であるともいえます。 しかし、社会人になり年齢を重ねるとともに、日常の中で自然に片想いをする機会は減りそれに伴い恋愛の妄想をする機会も減ってしまうのです。
そこで、片想いのような役割を果たすのがエア恋愛です。小説やドラマやゲームなどのツールで擬似的に片想いのシチュエーションを妄想することで、常に恋愛のスイッチが入ったままの状態でいることができます。特に女性は身体の構造上、身体の周期により波があるため、男性に比べて恋愛のエンジンがかかりづらいといえます。しかし妄想をすることで自分を恋愛モードにしておくことができ、異性から発信される小さなサインにも気づけるようになるので、妄想は現実の恋愛の準備としても有効であるといえるでしょう」
「オタクやアニメ好きなら一度は経験するものだろうね」
このエア恋愛について、ネットユーザーらはさまざまな反応をしている。 「エア恋愛したくなるのは、情けない男性が多くて、現実が虚しすぎるからやと思うよ。 そうでもしないと、明日に希望すら持てない」と意見を述べる女性がいる一方で、「男がエア恋愛をしようものなら、この上なくキモい扱いされるのに、この差はなんなんだ。。」とかみつく男性も。
ただ、アニメやマンガを好みふだんからキャラクターとの恋愛や、キャラクター同士のカップリングといった「妄想」にいそしんでいる「オタク」からは、とくに驚くべきことでもないと受け入れられているようだ。
「エア恋愛なんてものが存在したのかぁ。オタクやアニメ好きなら一度は経験するものだろうね」
「夢女子(編注:架空のキャラクターや芸能人らと自分との恋愛を妄想して楽しむ人たちのこと)さんたちへの朗報なのか…(° ° )」