ラーメン激戦区の東京・高田馬場にある有名店「中華そば べんてん」が、2014年6月28日をもって閉店する。
悲しんだファンらが最後に一杯食べようと行列を作り、開店前に用意した人数分が売り切れる事態になっている。
「べんてんが閉店なんて悲しすぎる」
「べんてん」は1995年に創業したラーメン店で、高田馬場エリアを代表する「名店」として知られる。鶏がら、豚骨の動物系と、煮干しなどの魚介系を合わせたスープが特徴で、麺の量が一般的なラーメン店より多い。生麺の状態で並盛りが350グラム、中盛りは650グラム、大盛りは1000グラムもある。カウンター12席のみのこぢんまりした店舗だが、道路脇に行列ができるほど普段から賑わっている。
そんな人気店が閉店するという情報が6月17日にネットに流れ、ファンの間で衝撃が走った。ツイッターで「べんてん 今月で閉店だって。ショックです」という発言とともに、閉店のお知らせのビラを撮影した写真が出回った。店の入り口に貼られたお知らせには、「中華そば べんてんは6月28日をもって閉店致します。誠にありがとうございました。 店主敬白」と書かれていた。
突然のことにネットでは「べんてんが閉店なんて悲しすぎる」「日本のラーメンを支えてきた業界のレジェンドやで。マジで泣きそうだ」といった書き込みが相次ぎ、閉店前にもう一回訪れようというファンが殺到している。普段の開店時間は11時となっているが、行列がその何時間も前からできているという。
閉店前日の27日14時ごろ記者は「べんてん」を訪れた。小雨の降る中、まだ30人ほどの列ができていた。中には傘を持たずに雨に打たれている人もいた。最後尾に並んでいた24歳の男性に話を聞くと、「朝の9時10分に並びに来て、10分後には売り切れました」と話す。店員が行列の人数を数えに来て、男性のところで最後と言われたという。
後ろに並ぼうとする人に「列が打ち切りなので、もう食べられませんよ」と男性は伝えていて、その時点で30回は言ったそうだ。最大時の人数はわからないというが、「橋の方まで行列ができていた」。列のスタート地点からそのあたりまでをグーグルマップ上で結ぶと約80メートルの距離がある。
「最後にもう一回食べに来なければ」
男性は閉店することをツイッターで知り、18日にすでに1回食べに来ていて、今回が2回目だという。
「前回は10時か11時ぐらいに来ても間に合いましたが、売り切れになる時間が早まっているみたいです」
ネットで報告されている情報によると完売時間は、18日は13時25分、19日は11時55分。そしてそれ以後は10時台、9時台にまで突入した。
「先頭にいた人は夜中2時半ごろから並んでいたらしいです」と話すのはIT系企業に勤める女性(34)だ。一緒に来た男性(34)と朝の8時半から並び始め、取材した時点ですでに5時間以上経過していた。21日にも「べんてん」を訪れたが、「最後にもう一回食べに来なければ」と仕事は休んだという。
営業最終日となる28日は土曜日のため、さらにすごい行列が予想されている。